4月15日(金) 国立能楽堂
狂言 『千鳥』 (和泉流 野村又三郎家)
シテ(太郎冠者)松田高義 アド(主)野村信朗 小アド(酒屋)奥津健太郎
(休憩)
能 『俊寛』 (金剛流)
シテ(僧都俊寛)種田道一 ツレ(平判官康頼)廣田泰能 ツレ(丹波少将成経)宇高竜成
ワキ(赦免使)飯冨雅介 アイ(赦免使の従者)野村又三郎
笛:成田寛人 小鼓:住駒匡彦 大鼓:柿原弘和 地頭:今井清隆
面:シテ「俊寛」
今月の国立能楽堂はこれだけ。珍しい。お能は、三老女『姨捨』が終わって、梅若定式の『千手』がある。月に3番は少ない方。『姨捨』が素敵すぎたので、やや集中にも欠ける。
狂言『千鳥』は、記録上は3回目。2021年6月に国立能楽堂、2020年11月に狂言堂で茂山家で観ている。
その記録、記憶と比べている。
アド主の野村信朗が、まだ若すぎて、口調が落ち着かぬ。狂言風に語ろうとするばかりで、却って不自然。ここで興ざめ。又三郎の長男だけど。
シテ太郎冠者の松田高義は、ベテランらしく、安定。小アド酒屋の奥津健太郎さんは、若手らしく、ハキハキと。
代を払わずに酒を持ってこいと言われたシテ太郎冠者が、小アド酒屋の話し好きに乗じて、お祭りの話を出して、なんとか酒を確保する話し。その話や、奪い方に違いがあるのは、お家の伝統でしょう。
最初の話題で、「浜千鳥の友を呼ぶ」「チリチリヤ チリチリ」は共通で、ここから曲名の『千鳥』になるらしい。
能『俊寛』は4回目で、ストーリーは良くわかるし、まあそれなりに。
鹿ヶ谷の陰謀加担によって、島流しに遭った3人の内、シテ俊寛だけが赦免されずに、島に取り置かれる。その驚きと悲嘆の話し。つかんだ袂を振りほどかれたり、櫓や櫂で打たれたり、取り付いた纜(ともづな)を切られたりする。その有様は、まあ、能というか、劇というか。舞は一切無いし、お能というには、いささか?だけど、人気はある。
歌舞伎で有名なのでしょう。平家物語にもあるし。
今回は、小鼓に注目。ここまで集中して小鼓を観るのは、やはり、お稽古しているから。
良くわからないけど、三地かな、ツヅケかな、なんて。打つタイミングはどうやっているんだろう、とか。ひとつ参考になったのは、玄人の小鼓方であっても、コミをキチンと取っていること。じっくり観ていないと気が付かないけど、コミの箇所で、小さく、フッと息を吐くというか、鼻を鳴らすというか。
以前、『三番叟』の3連小鼓を観たときにもそれには気が付いたけど、それは、3連だから小鼓頭領がコミを合図しているんだろうな、と思っていたが、一人小鼓で、普通の曲でも、ああいう風にコミを取るんだあ、と。
これからのお稽古の時にも、キチンとコミを取ろうと思う。声に出す直前でのコミで良いんじゃないのか。
高等遊民で、能楽中毒。ますます。