3月25日(金) 国立能楽堂

おはなし 小田幸子

      天野文雄

(休憩)

狂言 『袴裂』 (和泉流 狂言共同社)

  シテ(舅)野村又三郎 アド(太郎冠者)奥津健太郎 アド(聟)奥津健一郎

(休憩)

能 『岩船』・復曲 (観世流 九皐会)

  シテ(天探女)大槻文藏 ツレ(供女 龍神)大槻裕一 ワキ(勅使)福王和幸

  ワキ(浦人)山本凜太郎

  笛:杉信太朗 小鼓:大倉源次郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:大川典良 地頭:山崎正道

  面:シテ供女・天探女「増」 ツレ供女「小面」 シテ龍神「黒髭」(栄満 作)

 

能と狂言を再発見する企画。2日連続で、役者が交替しつつ演じられる。

どうやら、この企画で狂言が取り上げられるのは初めてらしい。

 

おはなしは、二人で同時かと思ったら、別々、20分ずつ。小田さんはまだ聞けたけど、天野さんは、語尾が聞き取れずに、聞こえず、寝た。内容は、プログラムに書いてあるとおりらしい。よって、つまらん。

 

狂言「袴裂」。『二人袴』の、古典というか、復曲というか、新作というか、らしい。要するに、婿入りの失敗談。これは、舅側の袴がないことに寄るドタドタ。原因は、聟が一日早く来てしまったことだが。

聟が、長袴、上下の正装で登場。舅と太郎冠者は、普段着で、舅は髭も剃っていない。舅用の袴がないので、太郎冠者が履いていた袴を取り上げて、舅が履く。半袴。

挨拶の後、まず酒盛りとなるが、ここまでは、まあ、交替で袴を履いてやり過ごす。

舞ということになると、困る。特に、最後に「七つになる子」の小舞を、聟と舅の相舞で舞うことになって、舅と太郎冠者が、半分に裂けてしまった袴を、前だけ見せて、つまり、魚の開きのようにして、履いて、舞うが、無理があって、バレてしまう。

面目ない、恥ずかしや、でお終い。

こういう狂言曲の内容だけで売りの企画だからか、役者としての上手・下手は解らない。初日は、太郎冠者と舅が、奥津さん親子。

どうってことはない。

 

能『岩船』。観世流は、半能で行ってきたのを、通じての能に仕立てたモノ。この日は、大槻文藏とその芸養子裕一が、シテとツレ。

おめでたい御代に、捧げ物として宝物を差し出す天探女。それを守護する龍神、というお話。

前場は、謡を聞かせる。後場は、天探女の優雅な中ノ舞と、龍神の圧倒的迫力の舞働。

人間国宝大槻文藏の、中ノ舞は美しい。中入りまえの衣装より、ググッと美しい衣装と、冠とで、実に優雅に。

後場だけに登場する龍神の舞働きは、若さ溢れる大槻裕一の、激しい舞の動き。衣装は、紫と金のモノ。冠も。

2日目は、龍神を紀彰師が舞うために、衣装を目に留めていたが、表現力がなくて、伝えられない。

笛の杉信太朗、小鼓の人間国宝大倉源次郎。その他囃子も、復曲で、どういう手を考えたか、慣れていないはずだけど、素晴らしく。

 

26日の2日目も、楽しみで、こういう連続企画で、曲の再発見も勿論良いのだけど、役者の違いも、また、楽しみだ。