3月2日(水) 国立能楽堂
狂言 『牛馬』 (大藏流 善竹家)
シテ(牛博労)善竹隆司 アド(馬博労)善竹隆平 アド(目代)茂山千三郎
(休憩)
能 『朝長』 (金剛流)
シテ(青墓宿の長 源朝長)金剛永謹 ワキ(旅僧)福王和幸 ワキヅレ(従僧)福王知登、矢野昌平
アイ(長者の下人)茂山七五三
笛:藤田次郎 小鼓:飯田清一 大鼓:亀井忠雄 太鼓:三島元太郎
面:前シテ・曲見 後シテ・今若(満照 作)
この日から、午前中の小鼓お稽古が始まったので、早めに抜けさせて貰って、国立能楽堂へ。慌ただしい。
狂言『牛馬』、初見。市の一番乗りを争うお話し。『鍋八撥』と同じ設定だけど、『牛馬』は、牛売りと馬売りの争い。『鍋八撥』は羯鼓売りと、浅鍋売りの争い。売買の対象物の違いだけではなくして、『鍋八撥』は売り人の年齢もあった。
博労ってのは、馬の売買をする人を指すハズだけど、詞章では、牛博労と馬博労と言っていた。
まず馬博労が、ハイハイドウドウと馬を連れて、一番乗り。一番杭だと、新市で末代まで営業が許可される。早いので、寝る。
次いで牛博労が、サセイホーセイと牛を連れてくる。アレアレ、この掛け声は『木六駄』と同じだね。牛と馬と、引き連れる動物によって、掛け声が違うのですね。
先に来て寝ていた馬博労と、一番杭を争う。揉めていると、アド目代が出てきて、「まーず待てまず待て」。これは、現実のロシアウクライナ侵略とかぶるなあ。あれも、「まーず待てまず待て」が必要。狂言は、平和だ。
争いは、駒競べ、競争ですね。馬が勝つに決まっている。それでも、勝負しようという牛博労の気持ちが、解せないけど、もともと2番だった弱みの自覚かな。ロシアも、まず引かなくちゃ。少なくとも、進行停止。停戦。
能『朝長』は3回目。2019年2月観世流梅若紀彰師と梅若実師、2020年9月観世流大槻文藏師。今回は、初めて金剛流で、宗家がシテ。結構重い曲なのかな。三修羅のひとつ。
前場は、シテ青墓宿の長者は、舞台中心で、下に居して、語りがほとんど。立ち上がるときに、脚が痛そうで、大変そう。安座だったのかな。なかなか立ち上がれず、立ち上がりも、転びはしなかったが、フラつく。後見が手を貸すかと思ったほど。前2回はそんな記憶はないから、調子が整わなかっただけだけど、ちょっと残念。1951年生まれ、69歳か。
後場はどうなるかと思ったが、後シテ源朝長となっては、まあキチンと。だが、橋掛かりからの出で、摺り足になっていなかったのは、まだ、しびれが残っていたからか。床几に座っての仕方話のままかな、と思っていたけど、途中で立ち上がって、戦闘シーンの仕方。ちゃんとできているのです。よかったです。割腹も格好良かった。
面も、後シテは、16歳だから、「十六」もありだろうけど、「今若」と紹介された。初めて見る面かな。
大鼓と太鼓が人間国宝なのは、能の位と、役者の格によるのかな。
お稽古始めたばかりの、小鼓を見たかったけど、丁度目付柱で、丸隠れ。まったく見えず。中正面の前の方だったけど。
今回も、前場でウトウトしてしまって、集中にかける。以前ほど、一回一回の能を楽しんでいない自分があって、チト、どんなもんかと。
昔のブログを見ると、序破急の終わり方や、囃子方、もちろんシテの舞、地謡の迫力で感激したりしていたのに。
とにかく、ここまで、能を番数多く観ることに熱心だったが、もうそういう段階ではないのかもしれない。
先月末までで、223番、128曲に及んでいる。
今後は、曲やら役者を選んで、月の番数を少なくして観ていこうかな。今月は、後4回あるけど。
小鼓のお稽古にも集中しなけらばならない。