2月7日(月) 横浜にぎわい座

開口一番 前座 古今亭菊一 『たらちね』or『たらちめ』

三三 『笠碁』

柳亭小痴楽 『崇徳院』

(仲入)

三三 『星野屋』

 

菊一、東大卒だよね。まあ、それをウリにしていないところが立派だけど、趣味にしている東大卒は多いけど、仕事にしちゃう、プロになっちゃうというのは珍しい。まさか、後輩の法学部卒じゃないよね。

お題の『たらちね』。本日のお題に、『たらちめ』って、書いてあったけど、”め”じゃなくて、”ね”だよね。意味が通じない。

たらちね、だってどうしてそんな題名になったか解らない。たらちねの母、母のかかりコトバか、母そのものを現すか。

いずれにしろ、丁寧すぎる言葉を使う新妻の滑稽話。例の、鶴女鶴女と申せしが、千代女と侍るなり~。買い物をするとかの前の、名前が長すぎて困る、というところまで。『寿限無』みたい。で、前座話なのか。

で、どうして、『たらちね』なのか。不明。ワタクシの知らない「たらちめ」という言葉があるのかしら。

と思って、広辞苑を調べたら、「垂乳根」がたらちね、「垂乳女」がたらちめ、で、ほぼ同義だって。ムムム。流派によるのだろうか。誰か、教えてください。

 

三三の『笠碁』。すぐにお題名は解ったが、『碁』の字が浮かんでこなくて、イライラ。

碁友碁敵が、待ったを巡って喧嘩になって、絶交だ、となるが、二人とも暇だし、打ちたくて仕方がない。互いに様子を探るが・・。

さすがに、仕草も含めて、面白い。菅笠から水が滴り落ちてくるのを、今日は水入らずで打ちましょう、がオチだが、こんなんだっけか。

サゲ、とオチ、ってのも使い分けるのかしら。

 

小痴楽。2回目くらいかな。若さたっぷりで、元気の良い『崇徳院』。眼鏡はかけずに高座。『落語ザディープ』出演の辺りから注目株で、真打ちになって、もっと上手になってきている。研究熱心なのかしら。

若旦那の恋煩い。ふと渡された短冊に「背をはやみ 岩にかかるる 瀧川の』と書かれてあって、下の句「別れても末に 逢わんとぞ思う」を観て、その美人を探す。その美人の方も恋煩いで、探し出されて目出度し、目出度し。

このお題名は解りやすい。

間と語り口の小気味よさが、よろしい。推し噺家の一人。

マクラの中で、小痴楽が前座時分の寝坊失敗談。小三治と、歌丸ともう一人いたかな、の九州3泊巡り落語会で、小痴楽(当時名は不明)が寝坊して、歌丸が杖をツンツンと突いて起こしに来た。慌てて起きてバスに乗ると、歌丸にではなくて、とにかく小三治に謝る。すると小三治「柳亭小痴楽か、柳家でなくて良かったな」。国宝怖え~、と。爆笑。

 

トリはネタ出しの『星野屋』。初めて聞く噺。だが、旦那と囲われている女の化かし合いは、共通した落語話。

店が潰れてしまったから、50両渡すから別れようというが、つい、一緒に死のうと言ってしまう女。しまったと思ったが遅い。心中の準備にかかり断り切れない。吾妻橋から身を投げるが、先に旦那だけ落ちてしまう、思い直す、というか初めからそんな気はない女。家に戻る。実は、これはすべて旦那の仕組んだ話し。大川の橋の下では周到な準備があったのだ。女の心根を試すため。女が家でくつろいでいると、旦那が現れて、よく解った、渡した50両も偽金さ、返せ、となる。返すと、そんなことあるか、ホンモノの金貨さ、となるが、返す前に女の母親が3両だけくすねていた、そんなこともあろうさということで。

旦那と女の化かし合いだか、そこの母親がからんできて、一枚上手、というのが珍しい噺。

さすがの三三。推し噺家の一人。

 

にぎわい座に来る前に、ちょっとしたトラブルがあって、娘からのバレンタインチョコもらい損ねて、やや気分が落ち気味だったけど、小痴楽と三三で、十分取り戻せました。

能楽だけではない、高等遊民の楽しみ。

今月は、もう一回、志らくの独演会がある。