1月2日(日)~4日(火)

 

昨年12月26日に拉致してきた孫娘を、解放せねばならぬ。拉致被害者(ではないけど)は、元々の生活地に戻さねばならぬ。

ということで正月の最中、帰省ラッシュなるモノの初体験をしつつ、やっとこさ北陸新幹線の指定席を取って、金沢へ。

金沢行きは、まあ普通の新幹線指定席が、それでもやっと取れて、普通に座ってきたが、東京戻りの新幹線予約が取れず、な~んと、なんと、4日に、やっと、グランクラスなるモノをゲットして、帰りの足を確保。金沢は始発だから、自由席を並んで確保する手もあるが、この歳になって、寒さの中、長時間並んで待つのは。いや。、というか無理。

高いのねえ。乗車券が8000円弱、グランクラス特急券指定券が20000円。グリーン車でも、大体乗車券と同額程度。それが倍以上。

大変な出費になったけど、拉致孫を解放して、再び帰ってくる日程から、仕方ないし。

 

2日の下りも新幹線は満席。娘に金沢駅ホームまで迎えに来て貰って、感動の対面を果たして、さあ家へ、と長靴やら傘やら持ってきて貰ったが、無理無理。積もった雪が、一部雨で溶けて、最悪、びじょびじょ状態。タクシーで。

 

こういう雪、雨、晴れとめまぐるしく天候が変わって、金沢名物の雷も鳴って、こういう日は、お出かけなぞできず、自宅に籠もるしかない。

関東地方のお正月のイメージは、寅さん映画の最終シーンで、ピカリと広がった青空の下、おべべを着た娘さん達の初詣、空に高く上がる凧なのだが、こちらはまったく別イメージ。

とにかく、自宅に籠もることしかない。曇って、ドンよりもしているし、洗濯物の外干しなどは絶対にできない。こちらのかたは洗濯物は暖かくしている室内干しか、乾燥機だろう。娘も、夜、風呂上がりにその日のモノを洗濯して、乾燥機に入れて就寝、朝には乾いているということ。慣れれば、かえって便利かも。

昔は裏日本といった。日本海側の、北陸、上越地方など、雪に閉ざされる地域は、それなりの性格、生活になるのですね。実感しました。

 

金沢には、観光客は来ているようで、お正月で食事する地元店は休業しつつ、観光客相手の飲食店は開いているが、予約で一杯。

 

3日は、午前中に、孫娘のスペースがごちゃごちゃになっていたのを、爺が一緒にゴミ捨て、整理へ。一卵性双生児みたいな母子だけでは、怒りの呼びかけと、泣き声の中、遅々として進まないだろうハズだったが、そこは年の功、爺があれこれなだめながら、ゴミ捨てと整理整頓をして、なんとか、孫娘のスペースの床が見えてきて、立ち入ることができるようになり、最後は今度は楽しそうにシールなど貼って、整理整頓は、爺にはできぬ。が、爺は昔の自分の子育てのことを思い出して、更に、心の余裕もできていて、良い感じ。

何年ぶりかで、孫の小学校の上履きを洗ったりして。懐かしい。

さてその後と思ったら、スーパー銭湯へ。タクシーを呼んで。さすがにここには観光客、帰省客は来ない。いつもならば、孫娘の世話をしつつの銭湯では、ゆっくり酒も飲めないから、爺がいれば、何とかなって、居酒屋飯、居酒屋つまみで、ちっとも金沢らしくないのだけど、まあ、娘孫が楽しくできるなら。

 

4日は、もうすでに娘は出勤。孫娘は学童で、日常生活に戻って、忙しい朝。二日酔いの爺。2人を送り出して、気持ち悪くて、1人で部屋に残って休んでいたが、寝てばかりいても何だからと、出かけましょう。グランクラスを取った新幹線まではまだ十分の時間。

でも、とにかく外は寒いので、室内でどこかと思って、ふと気付いて、そうだ、金沢には、金沢能楽美術館がある。4日から開館。

 

「加賀宝生」、という。シテ方宝生流が中心の、能楽文化だから「加賀宝生」と言われるけど、シテ方だけではなく、3役も全部地元の役者で能楽公演ができる。その下地も、謡のお稽古が盛んでもあって、できていた。

ということで「加賀宝生」。宝生流の宗家ではないが、明治維新後に一旦衰えかけた能楽が、佐野吉右衛門さんという中興の名人が主となって、再興された。元々、加賀前田家当主たちが、宝生流の能をたしなんでいて、保護してきた歴史がある。

 

もともと存在した「金澤能楽堂」は、老朽化によって解体されたが、そのミニチュアもあって、非常に興味深い。その後、石川県立能楽堂に近代的な能舞台ができているが、元の「金澤能楽堂」辺りに、この「金沢能楽美術館」が建築されて、ゆかりの地に戻ってきた、ということらしい。

21世紀美術館とセット券でないと来場者が少ないのかもしれないが、こちとらは、能楽美術館メインの来場者。2時間近くゆっくりと鑑賞した。

以前、まだ現役弁護士の頃、金沢で行われた研究集会の後、ちょっと立ち寄ったことがあったが、その頃はまだ謡・仕舞のお稽古もしていないし、能を見始めた時期だった。でも、その時に、面を付けさせて頂くスペースがあって、宜しかったのだが、今回は、コロナのために、面と装束の試着コーナーは閉鎖。残念。

 

冬の、雪の金沢兼六園って、素敵じゃないですか。でも、寒い。寒い。マフラーをして、マスクをかけて歩いていると、眼鏡が曇ってしまって、前が見えない。下手すると、そのまま眼鏡が凍り付いて、拭っても簡単にはクモリは取れない。

という訳で、兼六園はパス。金沢駅へ。

 

やっと二日酔いが解消されてきてお腹が空いてきたので、ビールも飲まずに(まだビールを飲む気が起こらない)、白山蕎麦の立ち食い。甘めのつゆで、なかなかのモノだけど、ここも、何しろ、混んでいて、立ち食い蕎麦を並んで食う、なんて体験初めて。

 

新幹線待合室に移動して、電車を待っていると、1本前の全席指定の列車が到着するというアナウンスが入ると、これもびっくり、キャリーバッグを持ってエスカレーターに並ぶのが長蛇の列。どこが始まりか解らない。とにかく延々と。日本人は粛々と。延々と。駅の構造の問題もあるかもしれないけど、延々とエスカレーターに並ぶお帰りの観光客や、帰省していた方の帰り。

お正月に移動するなんて産まれて初めてで、あれまあ、凄いのね、ホントに混んでいるのね。

 

それで、グランクラスの乗車。年金生活爺は、別世界。飛行機のファーストクラス並みのサービスらしい。ファーストクラスもビジネスクラスも乗ったことはないけど。軽食弁当提供のお知らせが来るが、今、蕎麦を食ったばかりで、お断りする。でもまあビールだけは頼もう。すると、沢山のおつまみ煎餅が付いてきて。

こういうのに乗る前には、事前に、どういうサービスがあるか調べておかないと、ね。

もう二度と乗らないかもしれないけど。

結構若い人たちが乗り込んでくる。若い人はそんなにお金持ちなんだろうか。

 

様々な初体験をさせて貰った、高等遊民のお正月休み。