12月8日(水) 神奈川県立音楽堂

開口一番 柳亭市寿 『?』

柳家喬太郎 『太鼓腹』

柳家三三 『二番煎じ』

(仲入)

柳家三三 『短命』

柳家喬太郎 『小言幸兵衛』

 

よこはま落語会というのは、主催団体か個人がもう一つ不明なのだけど、~未来の大看板を応援する会~という副題があって、喬太郎や、三三、兼好、宮治、一之輔らが、交代で出演している。

もうすでに、ワタクシにとっては、面白い噺家であったり、追っかけ的ファンだったりするのだから、未来の大看板と言われても、そんな感覚ではなく、観たい聞きたい噺家の落語会に行くと言うだけです。

 

開口一番の柳亭市寿は、初めてで、羽織を着ていたから二つ目なのでしょう。喬太郎も、三三も弟子を持たないから、前座役をする人を、協会から探してきたのか、誰かの弟子を前座役として使えば良いのに。

でも、この人、二つ目なのにまったく面白くなくて、演題がまったく思い浮かばないのです。聞いていたときは、聞いたことがあるなあ、というイメージではあったけど、気が入らなくて記憶にない。その程度だったのかな。

 

柳家喬太郎が、2番目の『太鼓腹』とトリの『小言幸兵衛』。新作はやらず、古典落語でできるんだと。

若旦那が暇なもんだから、鍼の練習をして、太鼓持ちに実験する滑稽話。腹に打ってくれと、太鼓持ちが腹を突き出すポーズなど、その前に、帯を解きそうになる仕草など、派手眼の演出で、十分笑わせる。コロッケ蕎麦やら、ウルトラマンネタなども織り込むのは、新作を得意とする骨頂。

 

柳家三三の『二番煎じ』。出のお囃子が止まらず、腰を折られるけど、まあ余裕。

三三が小声で話すときは、聞きにくいのだけど、これはワタクシの聴力の衰えによるのでしょう。補聴器が必要かな。

一の組が見回りから帰ってきた後、それぞれ持ち寄りの酒や猪鍋を食らう辺り、上手いねえ。寒い日だったから、温かくなりそうな燗酒や、鍋が恋しくなる。

頭の体操で、演題を思い出そうとするが、「○○番屋」だったかな、等と思い巡らし、オチでやっと『二番煎じ』だと気付く。

 

仲入後、三三『短命』。この演題はすぐにわかる。三三の色っぽさ、艶話も悪くない。自宅に帰ってからの女房との絡みがやや雑だったか。でも、とても面白い。やはり、三三。既にして大看板ですよ。

 

トリは喬太郎『小言幸兵衛』。小言ばかりいう家主が、貸し家を借りに来た人への断りで、将来長屋で心中事件が起こるからだという。その、滑稽そのものの空想話がどんどん発展していく様が、実にテンポ良く語られた。

しっかりと古典をしゃべる。新作だけじゃないのです。ちゃんと古典もできるのです。こちらも、既にして大看板、といって過言ではない。

 

家を出るときは、もう暗くなりかけていて、寒いし、小雨も降るし、で心折れそうになるけど、やっぱり、しっかりした方の話しは、鬱気を飛ばす快適なモノだ。時間と金をかける価値がある落語会だった。開口一番を除いてね。