11月19日(金) 国立能楽堂
狂言 『成上り』 (大蔵流 茂山千五郎家)
シテ(太郎冠者)茂山茂 アド(主)茂山千之丞 アド(すっぱ)茂山あきら
(休憩)
能 『海士』・懐中之舞 (観世流 銕仙家)
シテ(海士・龍女)観世銕之丞 子方(房前大臣)谷本康介 ワキ(房前の従者)福王茂十郎
アイ(浦人)茂山千五郎
笛:藤田次郎 小鼓:幸正昭 大鼓:佃良勝 太鼓:小寺真佐人 地頭:浅井文義
面:前シテ「若曲見」(井関 作) 後シテ「泥眼」(近江 作)
狂言『成上り』は前には和泉流の野村萬斎シテで見たことがある。2010年10月。その時は、最後にすっぱを捕らえようとするときに、ドジな太郎冠者が誤って主を捕らえてしまうというオチだった。
今回は大蔵流。居眠りしていたアド太郎冠者が、アドすっぱに大事な主の太刀を杖に替えられて、言い訳に、山芋が鰻へ、雀が蛤へ、嫁が姑へ成り上がるという。太刀が蛇に成り上がって盗人を追いかけるという仕上げの成り上がり話しの後、実は、かの太刀が杖に成り上がってしまいました、ゴメンナサイ、しさりおろう、でお終い。
あれれ、大蔵流はこんなんだ。尻切れな感じ。
今回の定例公演は、演出の様々な形というテーマで、来月に、同じ曲を今度は和泉流でやる。比較だな。
能『海士』は3回目。今までは喜多流ばかり。今回は観世流で、次回は、演出の様々な形ということで金剛流。
喜多流も金剛流も『海人』と題名を書く位しか違いはわからぬ。
子方の谷本康介君は11歳。力強い声で、ハコビもしっかり。子方ぎりぎりかな。
前場の「玉之段」は、有名で、仕舞でも小歌でも、結構見聞きしているから、親近感がある。前シテの銕之丞先生、しっかりと。乳下をかっきって明珠を隠して、海中の龍宮から盗み上げてくる。これは一重に、子の出世のため。その子が、眼前にいる子方房前大臣。舞っているのは、前シテ海士、実はその取り上げてきたために死んでしまった母親海士の幽霊。
後場は、管弦講に導かれて出てきた後シテ龍女の舞。しっかりとした龍女の早舞。さすがに素晴らしい。でも、ちと銕之丞先生、お疲れか。足下が・・
後場の詞章は、法華経から引用しているらしいけど、まったく意味わからず、不覚。お経の内容までは、力至らず。かつての都人はわかっていたんでしょうね。
後の紹介で、後シテの面が「泥眼」だった。気付かなかった。「泥眼」はこういう神がかりにも使用されるんだ。
何だか、疲労で。集中できない自分が悲しい。能楽中毒なのに、ウトウトしてしまう。勿体ないし、悔しい。