11月10日(水) 横浜にぎわい座

開口一番 立川がじら 『緊急事態の国のアリス』

『青菜』

『金明竹』

(仲入)

『豊志賀の死』

 

新・志らく百席の、最後から2番目らしい。

 

開口一番のがじらは、ダメだなあ。二つ目かしら。新作で、今日の緊急事態と絡めて、ヒット曲の替え歌というか、何というか。

印象的には、師匠志らくの昭和歌謡ネタを使ったようだけど、志らくのように、ホントに好きなのではないのね。もっと、お宅っぽくやれば良いのに、無理なのです。真似をしようとして、失敗しただけ。

 

『青菜』、古典落語を、しっかりとそのまま。マクラは、最近の志らくの通り、コメンテイターとしてのモノ。まあ、良いんじゃないですか。こちとらも知らないネタじゃないけど、そもそもバラエティ番組なんてあんまり見ていないファンからすると、ちょっと、ズレるかなあ。もっと、誰でも知っている時事ネタをストレートに、って感じ。

「鞍馬から牛若丸が出でまして、名を九郎判官」。名が菜で、九郎が、食ろうた、食べてしまったという意味だと、話しの中でそれとなく解説。

「義経にしておけ」は、よしておきなさい。

夏の話しだけど、前に聞いたところでは、百席は始まる前から組んであって、それが、コロナの休演やら何やらで、今時になったということらしいです。冷や酒も、ぶっかけ氷に乗った鯉の洗いも、もう一つピンとこず、食べたいなあ、という気にはならないのでした。季節感たっぷりの噺は、やはり、合った季節に。

 

『金明竹』。甥っ子の与太に、掃除やら店番を任せて失敗する噺で、聞き所は、お使いのモノがきて、訳のわからない伝言おしゃべりをするとこ。常は、関西弁のお笑い。あれでも、調べてみると、キチンとした話題になっているのです。適当に喋っているのではない。

それを、滑舌爽やかに、わからないように、失敗せずに喋るところがミソで、前座の練習課題とか。寿限無と並んで。

志らくは、関西なまりと、英語なまりを加える。より一層わからなくなるけど、4回喋るけど、きちんと同じに喋れているかが勝負。こういう所が、キチンと喋れるかが、実力というか、勝負というか、稽古というか。

でも、どうしてこのお題は金明竹なのだろか。道具屋の噺だからだろうけど、良くわからない。

 

仲入後は、一転、『豊志賀の死』。怪談話。無茶苦茶なお笑い噺の後で、こんなのができるかと言われて、私はできるのですよと自慢げ。

なるほど、志らくはできる。圓朝作の「真景累ヶ淵」の一部。これも夏の怪談話だけど、まあ良いです。上手の噺ならば、怪談話でもよろしいです。

 

やっぱり、志らくは巧いのでは無いか。新作っぽく、替え歌で盛り上げることもできるし、講談や都々逸なども、古典も。お笑いも、怪談も。やはり、百席できるってのは、凄いことだなあ、と。

 

これでボクの記録では、九十八席終了のハズ。で、次回は、本来1月だけど、2月になってしまって、『寝床』とシネマ落語二席だと。

しかも、続新・志らく百席かどうかわからないけど、百席興業を続けるような。

ワタクシが落語をライブで聞き始めた最初の頃が、この新・志らく百席。志らくはまだコメンテイターなんてやっていなくて。忘れもしない一席目は、『大工調べ』。あれから百席か。あの滑舌。