10月11日(月) 横浜にぎわい座
開口一番 前座 入船亭なんちゃら 『たらちね』らしきモノ
三三 『狸賽』
ゲスト 立川志の春 『茶の湯』
(仲入)
三三 『三人旅』
幾ら修行中の前座たって、あれは酷い。早口で何を喋っているのかわからない。知っているお題だから物語はわかるが、イライラして、不愉快で、端の席だったら立ち去るところ。じっとこらえて15分。学生落研より酷い。客を不愉快にさせてどうする。
10月7日に柳家小三治が他界した。突然のことだったらしい。発表が10日で、この落語会は、小三治の一番弟子と言っても良いような三三の独演会。勿論お客はそんなこと熟知しつつ、どうなるのかな、笑って良いのかななんて思いつつ。
ワタクシは、9月18日に小三治の高座を聴いた。『粗忽長屋』だった。ブログにも書いたけど、もう聞いとかなくちゃと言う動機で聞きに行って、落語はまあまあだったけど、存在だけで許される噺家だった。
落語家の人間国宝は、先代の柳家小さん、上方の桂米朝に続いて、三人目だった。さて、次は、となると誰だろう。抜き出た噺家がいるか。
人間国宝と言えば、お能の野村四郎幻雪が亡くなったのが8月21日。最後の舞台は7月で、ワタクシも観ていた。素晴らしかった。
観られる内に観ておかないと。古典芸能の人間国宝。陶芸などでは形あるモノが残るけど、ね。
そんな三三。マクラで小三治の件に触れなくてはならない。密葬はことあるごとに伝えられていたことだそうで。
また、ネットニュースで、小三治と三三の「親子会」のチラシを見たヒトが、あれは、ホントは父と息子だったんだあ、息子はまだまだだ、等というフェイクを、さも知ったように流していたと。にぎわい座の客などは、一笑に付すが、ネットで小三治で検索して出てきたチラシを見て、勝手に想像納得して、それを発信するんだから、ひどい話し。
なあんちゃって、このブログも同じようなモノかもしれない。自戒せねば。
『狸賽』。聞きながら狸の恩返しって題名じゃなかったかな、なんて思いつつ、落語のお題名を思い出せない。助けて貰った恩返しに、父狸に言い含まれて、恩返し。妻になってあげる、ということから、結局、博奕のサイコロに。その賽の目になるように言い含めるおかしさ。最後は、サイコロではなくして、五の目を出して欲しいのだけど、数字を言ってはいけないと言うことで、梅だ、などと言うと、梅で有名な湯島の天神様、菅原道真公になってしまうと言う、バカ話。
面白い。
ゲストは、志の輔の弟子の志の春。志の輔は人使いが荒いそうで、三三は、落語の『化け物使い』よりひどいと言っていたが、その弟子。赤っぽく染めた髪のままで。良いんじゃないですか。
『茶の湯』。隠居の茶の湯話だけど、何やっても風流だなあ、と言い合うところなど、そういえば志の輔の『茶の湯』を聴いたことがあったなあ、と思い出す。やはり、師と弟子。
時間制限もあるのでしょう。貸し家の方たちを招待する部分など、飛ばして話す。
英語の落語会もやったことがあるそうで。シンガポールで。なかなかよろしいのではないでしょうか。
トリは『三人旅』。上方にいくつか旅話があるのは知っていて、その最高峰は『地獄八景亡者戯れ』だけど、江戸落語にも旅ものがあるんだ。初めて聞く。
どうやら伊勢参りに行く三人の旅で、その途中のあれやこれやを、珍道中としてしゃべる。今回は、三三の出身地でもあって、神奈川県内の小田原宿の噺。字が読めないので、やっとこさ探した「鶴屋善兵衛」という宿。
そうなんだ。まだまだ字が読めないヒトが多い時代だったから、絵文字や、屋号マークで示すんだあ。あるいは、ツルヤ、ツルヤ等と連呼しながら。
その宿は、飯盛女がいるという。遊女じゃなくして、夜の伽おんな。飯の給仕もするし、伽もすると言うらしい。三人旅なのに、伽オンナが2人しか居ない、こっそり隣から借りてくると言う主。それが、実は、80過ぎのツルはげばあさんだった、という話し。まあ、現代で、あそこまであけすけに話して大丈夫かと思うけど、YouTubeやテレビではやらないんだよね。小屋だからこそ。
三三は、あくまで滑稽バカ話として、ちっともイヤラシくなく喋る。『大山詣り』でも、藤沢宿の話しは、さっと飛ばすけどね。良いと思います、これで。江戸落語では、お参りの旅とオンナは切っても切り離せないのが普通。
やはり、三三は、当代一流。人間国宝にはまだまだだけどね。しっかりと古典落語を極めて頂ければ。