9月16日(木) 銕仙会能楽研修所(青山能楽堂)
小鼓方大倉流の宗家、大倉源次郎が主催する会。15世大倉長十郎宣誉喜37回忌追善、とある。
源次郎の父親が亡くなってから37回忌に当たる、祖先会という訳ですね。
祖先会というのは、源次郎さん(というか小鼓方大倉流宗家)が主催する、お素人中心の会、発表会みたいなもの。
こういう会の有様は良くわからない。祖先祭と呼ぶんですね。
まあ大体が小鼓の素人が、習得してきた技と結果を披露する、それに玄人の囃子方やシテ方が、みんなして盛り上げる。
合間合間や、最後には、玄人の模範演技というのか、も交えて、楽しい会にする、という具合かな。
入場無料。稽古を積んできた素人の発表会みたいなものだから、素人さんが費用を負担するのでしょう。お稽古料みたいだけど、錚々たる玄人にお出まし頂くことになるので、かなりの費用と推察する。
シテ方では、各シテ方が主催する会というのがあって、その会と言うこと。紀彰先生で言えば、梅栄会か。
その正式な、割と大がかりな会。
会場は、関西方面は上田能楽堂で、関東は銕仙会の能楽堂。
囃子方の会にも行ったことがないし、青山能楽堂も初めてだったので、誘われるままに参加。
青山や、表参道などと言うと、田舎者は、目がうつろになる。
小鼓のお素人が打つ居囃子は、その後ろに源次郎先生が座っていて、アドバイスしたり、拍子を取ったりする。出来の良い素人にはただ座っているだけ。
そこに、錚々たる玄人の大鼓方、笛方、たまには太鼓方、シテ方の地謡がつく。
あんな方々の中で小鼓を打つなんて、さぞや緊張するだろうと、見ているこちらも緊張する。
独鼓というのもあって、素人の小鼓と、玄人のシテ方の謡。
謡がつくと、ワタクシでも何となくわかるのだけど、居囃子など、ホンモノの舞台ならば舞があって、その伴奏的に囃子が入る場面になると、もうどこだかわからないし、それでも、拍子を合わせて囃子方が様々演奏し、更には、突然地謡が始まると、玄人たちというか、熟練した素人も、囃子方の囃子が、物語のどこを打っているかと言うこともわかるんですね。
すごいもんだ。
これは、謡仕舞だけをお稽古してきたモノとしては、未知の世界。憧れの世界でもある。
もともとは小鼓方のお稽古してきた方であろうけど、囃子だけではなくして、謡もお稽古してきている方もいて、囃子方の会なのに、お素人が謡をしたのもあった。
それが『道成寺』・前で、あの小鼓を源次郎先生、地頭を梅若実先生が勤め、ほんのちょっとのアイ能力役に野村裕基君が出演したりしていて、これは豪華。舞台が浮かんできて、素晴らしかった。乱拍子。
シテ謡の素人は、高齢の女性ではあるが、熟達していて、囃子の演奏中に、時々シテ謡が入るのが、タイミングが外れない。
番外の最後は、舞囃子『融』。シテは観世淳夫、観世銕之丞さんのご長男。あれまあ、お上手と思ってみていたら、会場の銕仙会の関係で、ご長男が舞囃子シテなのですかね。
地頭には観世銕之丞。その他の地謡は、観世流総出演という感じで。紀彰先生も、実先生の孫の英寿くんも。また、足が痺れて立てなかったけど。
囃子のお稽古もしたいような、怖いような。きっと、相乗効果で、良い結果が生まれるのだろうけど、時間がね。
いかに、高等遊民とはいえども。