8月15日(日) 横浜能楽堂
平曲 須田誠舟 『海道下』
狂言 (和泉流 野村万作の会)
シテ(太郎冠者)野村萬斎 アド(主)深田博治 アド(次郎冠者)野村太一郎
(休憩)
能 『熊野』・三段ノ舞 (金春流 櫻間会)
シテ(熊野)櫻間右陣 ツレ(朝顔)阪本葉 ワキ(平宗盛)森常好
笛:松田弘之 小鼓:飯田清一 大鼓:亀井広忠
附祝言 『千秋楽』
「平家物語の世界・語りの伝承ー巻二十四ー」が正式名称なので、平曲、平家物語の琵琶語りが主の企画なのでしょう。去年も9月に平曲『判官都落』を、巻二十三として、観ていて、珍しく、かつ面白かったので、今年も参加。
今年の『海道下』(くだり)は、平重衡が、一ノ谷の合戦で捕らえられて、鎌倉に護送される箇所。道行きみたいなもの。知らなかったけど、途中、池田の宿に立ち寄って、あの、長者である熊野の娘のところに泊まったらしい。
詞章というのか、台詞の文も出してくれたので、良く解ったけど、なんと、眠ってしまったのです。勿体ない。
狂言『樋の酒』、6回目。最近は2019年5月鎌倉能舞台で野村万作の会。前回とはまったく配役が違う。6回目になると、ストーリーは十分解っていて、どこが面白いかも解るけど、また隣の女性がケタケタ笑っていて、場違いな感じ。20代後半から30代の女子は、一人参加すると、ああいう風に笑うのかしら。それとも、萬斎ファンか。
野村太一郎さん、結構キチンと芸を引き継いで、野村万作の会になじんでいるよう。
今回の企画である、海道下り、に因んで、太郎冠者と次郎冠者が気持ちよく酔って謡う小舞が「海道下り」に変更したらしい。が、常はなんであったか解らないので、なんとも。
能『熊野』も4回目だし、仕舞での『熊野』お稽古や、今は、連吟発表予定で清水寺への道行き部分をお稽古しているので、極めてなじみ深い曲。熊野が統一テーマなのです。
金春流の詞章を渡して貰えたので、持ち込んでいた観世流梅若謡本との違いを中心にして観聞きした。大分違うのですね。
例えば、有名な文の段、梅若本では全部シテが語るのだけど、金春流では、前半はワキ謡、ちょっと二人謡があって、シテ謡となる。
連吟をやる清水寺への道行き部分は、金春流は大幅に詞章がカットされていて、何だか物足りない。
シテツレ朝顔が登場する。最初の声を聞いて、あれ、女子かしら、と思う。今朝、ネットで検索したけど解らない。でも、間違いなく女声だった。声が高く、聞き取りづらい、声がキチンと止められずに滑る。女流でも悪いことではないけど、役不足なのではないかしら。
地謡は、最初、前列に3人、後列に2人しか出ておらず、シテ登場前にもう一人出てきたけど、何だか、バタバタしていて、緊張感がなくて、だらっとした舞台だった。
後見には、白髪のベテランとおぼしき方が出ていたが、彼が牛車の作り物を持ち出していた。他に、いないの?
櫻間右陣は、私生活であまり良い噂を聞かないのが、それが原因か。それとも、右陣が纏めきれないのか。
金春流の問題もあるのか。でも、櫻間金記さんなど、これほど違和感を持った舞台ではなかった。お年を召してしまったが。
それらが昂じて、金春の詞章の節遣いまで、気になってしまう。これは、梅若でお稽古して、梅若流節が身体と心に染みついているからだろうけど。
金春流とはおさらばかな、と思いつつ。櫻間右陣とだけおさらばにしようかな、と。右陣さんの謡や舞は、綺麗なんだけどね。生き様がそこそこに現れるのか。