7月12日(火) 横浜にぎわい座

開口一番 前座 古今亭菊一 『手紙無筆』

『かぼちゃ屋』

ゲスト 桂三木助 『五貫裁き』

(仲入)

『大山詣り』

 

三三の独演会。にぎわい座のハマの十番勝負。これは、なかなかチケットが取れない落語会。5月の第一番『大工調べ』などは割と簡単に取れたので安心していたが、6月の第二弾『山崎屋』は取れず、今月の第三弾『大山詣り』も、最初の売り出し時には取れなかったが、毎月15日の予約確定日以降、16日に再トライして運良くゲット。

8月の第四弾『素人鰻』も取れず、その日はゲストが桂宮治だから、きっと予約確定日を過ぎてもダメだろうと諦めて、他の予定を入れてしまった。

良く、今一番チケットが取れない誰々、と人気の具合を表現するけど、個人的経験では今は柳家三三、だ。

ここまで2勝2敗。今後も、チケット合戦が続くでしょう。

 

前座は、ダメ。早口なんだね。自分の記憶だけで喋る。聞く側のことを考えない。修行中だから仕方ないけど。

 

待ってましたの、三三。2日前に関内寄席で聞いている。なんでも、今朝まで博多にいたと言っていたから、関内寄席を仲入前で喋って、博多に行ったのか、夜席を済ませて、今朝ご帰宅か。売れっ子は忙しい。また2日後には、町田市民ホールで柳家花緑との二人会に行く。

高等遊民も、5日間中3日も三三の口座に出かけるという暇人、追っかけぶり。

『かぼちゃ屋』は、甥っ子にかぼちゃを売れせるが、上を見ろと言われて天ばかり観るようなとろい奴、6尺棒で天秤を担いで3尺巾の路地に入って回転できなくて困っていると、脳天気ぶりに感心されて売って貰う、というお話し。

姿形だけではなくて、語りっぷりも素敵。

 

桂三木助、って聞いたことがあるなあ、というだけで聞き始めたが、二つ目や、真打ちでも最初の2~3年は前座より収入が少ないという愚痴マクラで、睡魔が襲って、最後まで熟睡。『五貫裁き』はまったく聞いていない。

調べたら、当代は5代目で、先代4代目三木助の甥にあたるか。4代目三木助は2001年に首つり自殺したらしい。さらにその先代の三木助は、名人で、一世を風靡した。だから、自殺のことは記憶にないけど、有名な名跡だなあ、とは思っていた。

落語家にも、血で引き継いで行く名跡もあるが、難しいだろうね。上手くて当たり前で、かつ、修業時代から甘やかされているから、人間的に問題が出てくるし、苦労を知らない。

例えば、志ん生は、子どもは成功したけど、それは志ん生が破天荒で、売れる前は極貧の生活をしたらしいから。

血の継続、後継は難しい。弟子の中から優秀なものに継がせるのがよろしいだろう。

多分、当代三木助も大変でしょう。酔っ払っては居たけど、そこまで眠るなんて。面白くて会場が湧けば起きるさあ。

 

『大山詣り』、何度も。志ん朝のYouTubeを観たこともあると思う。重点の置き方が違うけど、同じお話しを、自分のものにして、聞かせる。大山への行き方が、行きは246、帰りは国道1号、と説明。解りやすい。この辺良く解らなかったのです。だから、金沢八景に寄ったり、烏帽子岩の向こうを舟で廻ろうとして難破する、という話になる。確かに、ちょっと遠回りだけど、順路だ。

神奈川宿で、大暴れして丸坊主にされた熊さん。神奈川宿っていうのは、今の台町当たりの宿で、もうこれから品川に入って江戸に入るという位置関係。気が緩む。ホントは、この帰り道、女郎遊びをするのが大山詣りの目的だったけど、落語ではその辺りの色道は話さない。ただ、気が緩んで、酒を飲んで、大暴れと。

志ん朝は、神奈川宿では、お先度も、芸者遊びをするという部分があるけど、三三は、まったく色気は出てこない。

先に早かごで帰って、女将さん連中を集めて、みんな死んでしまった、と大嘘をついて、頭を丸めさせ、百萬遍の念佛。なんだかんだ言っても、みんな怪我なく(毛がなく)良かったね、というオチも、ストンと。

面白かった。

 

終わったのが、9時15分になっていた。三三も、そんなに長くは喋っていなかったから、逆算すると、三木助が長かったんだ。そんだけ長く寝込んでいたのも初めてということ。『五貫裁き』、後で貼り出されたお題の表を観て初めて解ったんです。それだけまったく寝込んでいたんです。

これも記録ものです。三木助は、ダメです。きっと、今に名前負けして、没落する。

三三は、一押し。