7月11日(日) 横浜能楽堂
狂言組 和泉流 野村万蔵家
お話し 河野佑紀
『寝音曲』
シテ(太郎冠者)野村万之丞 アド(主)能村晶人
(休憩)
『蚊相撲』
シテ(大名)野村万蔵 アド(太郎冠者)河野佑紀 小アド(蚊の精)野村拳之介
今回は、野村萬さんは登場しない。
お話しの河野佑紀さんは、ま、いつも通り。若いね。
『寝音曲』、記録だけで4回目。今までは大蔵流ばかり。和泉流は如何に。あまり変わったところは認識できず。ただ、シテ太郎冠者が、寝ながら謡を謡うのが、起き上がって声が出るようになるのが、ぱったりとだった。その前に酒を飲むのも、あんなに多かったかな。
最後には、舞と謡を上機嫌で披露してしまうのは、どうだったかな、大蔵流ではなかったような記憶。
ま、良いのです。素人なんだから楽しめれば。
アド主に能村さん、無表情で、シテ太郎冠者の頭を上下させるのが、やや不気味。いつもはニコニコ顔の役なのだけど。
見慣れた曲過ぎて、寝てしまった。
『蚊相撲』。これも4回目だが、2019年5月に同じ野村万蔵家だけど、シテ大名は野村萬、太郎冠者が万蔵だった。世代交代。
シテ野村万蔵は、登場するだけで、眠気がすっ飛ぶ。さすが当主。
この曲は、要するに、経済感覚も何もなくして、ただただ見栄を張りたいシテ大名、多数を抱えようと言い出すのは、いつものパターン。
太郎冠者も、2番目に見栄張りで、自分の主人を大きく見せようとして、新参者に当たる。ここに、3段階のヒエラルキー。
相撲をとるについて、序列最下位のアド蚊の精に簡単に負けてしまうシテ大名。再度の戦いで、扇をあおいで飛ばしてしまって勝ちかけるが、最後には負けてしまう。
悔しいシテ大名は、アド太郎冠者を八つ当たり的に投げ飛ばす。そこでシテ大名は退場するが、アド蚊の精が退場するときと同じ蚊が飛ぶ振る舞いで。悔しさを、晴らしきれないのか、蚊の精が強くて真似をしたいのか。
どうですかね。この人情劇解釈は。見栄と序列の世界と、その転換の妙。
何度も同じ曲を観てきていると、なかなか、解釈が楽しくなってくる。高等遊民の成長か。