7月4日(日) カルッツ川崎

指揮:藤岡幸夫

ハチャトリアン 『組曲仮面舞踏会』よりワルツ

ショスターヴィチ 『ヴァイオリン協奏曲第1番』

  ヴァイオリン:木嶋真優

(休憩)

チャイコフスキー 『バレエ音楽眠れる森の美女』からワルツ

ストラビンスキー 『バレエ組曲火の鳥』

アンコール:チャイコフスキー『管弦楽組曲第4番』から第3楽章

 

春シーズンの最後も、みなとみらいホール改修によって放浪生活。次の秋・春シーズンの年間チケットも来たけど、全部放浪生活。

カルッツ川崎は初めて。だけど、横浜地裁川崎支部の向こう隣なので、川崎駅から懐かしんで、歩く。

だけど、川崎駅自体が大幅に改修変更されてしまっていて、当時は、北口なんてなかったのに、今や、中央と並ぶ、北口改札。駅ナカも充実。変わったなあ。

でも、カルッツ川崎に向かう時に、昔からの中華で食事しようとしたが、昼日中なのに、道路にテーブルを並べて昼宴会。感染対策も十分とは言えない。川崎は、独立王国だなあ。横浜では見えない風景。

 

もともとの指揮者がどなただったか記憶にないが、面白いプログラム。「魅惑のロシアン・メロディー」だと。

 

ハチャトリアンから、軽くスタート。

ティンパニのエリックがいない。フルートの真鍋さんもいないか、と思ってよく見たら居たかな。今回は、付け睫毛が小さかったから見間違えたか。

 

お目当ての、ショスタコーヴィチヴァイオリン協奏曲一番。協奏曲といっても、4楽章あるから、交響曲レベルの大曲。

お目当てといっても、聞いたことがなくて、ちょこっと予習したら、ビックリ仰天。素晴らしい曲ではないか。

ショスタコーヴィチというとどうしてもスターリンとの関係が気になる。この曲は、1947年から8年にかけて作曲されたが、発表初演は1955年。この間何があったか。1953年スターリン死亡、1956年2月ソビエト共産党大会においてフルシチョフによるスターリン批判秘密報告。秘密報告以前にも、情勢の変化はあっただろうから、それを感じて発表、それまではスターリン主導の社会主義リアリズムなる教条主義によって、発表を控えていたに違いない。

口ずさむことのできるメロディーがない、現代曲ではあるが、ヴァイオリンを中心にして、もの凄い圧力。弱音とか、強音だけではなくして、剛音というのか。力強い弓と、弱い弓の交互連続で、非常に演奏家にとって難しく、体力勝負の曲だろう。

第1楽章でも、2弦を同時に弾くことが多い。重い。軽い第2楽章を経て、第3楽章。第4楽章に入ると、数分続くヴァイオリン独奏を経て、大きく盛り上がって、パタッ、ジャンと終わる。お能でいう序破急の急。どかっと、涙が。

昔は現代音楽は嫌いだった。メロディーが無い曲なんて。

学生時代は「反帝反スタ」。解る人は解るけど、ショスタコーヴィチは、スターリンの腰巾着という偏見を持っていて、好まなかったが、長じて、ショスタコーヴィチが、良いんじゃねえ、となって、今や、ファンに近い。

良いねえ、ショスタコーヴィチ。こういうように理解が変わるのも、定期演奏会だからだね。

今日のプログラムでも、数千円を出して買うことはないもの。

 

ソリストは、ポニーテールで、銀と黒の横縞模様。紅が入らなく、華やかではない。曲に併せたか。1986年生まれ、35歳。

この曲を弾ききるのは、この様な若者ではないと無理か。

 

後半は、楽しく。

チャイコフスキーのワルツ。

ストラビンスキーは、いっちゃっている作曲家で、あれでバレエ音楽だなんて、革命だよね。

 

やはり、やはり、高等遊民クラシックが良い。現代音楽も好きになったし。日フィル演奏会があると、その前数日は能のお稽古から外れる。気分転換。

さて、再び、能楽の世界へ。