5月11日(火) 横浜にぎわい座
開口一番 立川らくまん 『六尺棒』
『源平盛衰記』
(仲入り)
『子別れ』
入場時に、「当日券あります」の表示。市松席なのに。かつては、全席販売でもなかなかチケットが取れなかったのに。
今回は、販売開始の定時に忘れて予約できなくて、2時間ほど遅れてしまったから、2階席の最後列にやっとだった。
そんなことだから、当日券ありは衝撃的。
でも、2階の最後部席は、後ろに他の客がいない気安があって、悪くはない。
開口一番の前座は、志らくの十七番弟子とか。志らくは、実に沢山の弟子を抱えている。面倒見が良いのかしら。
帰宅したら、ニュースで、立川らく朝という志らくの弟子が死亡したと。なんでも、医学博士で、医事ネタ、健康ネタで売っていたらしい。真打ち。落語も名前も聞いたことなかったけど。死亡は5月2日らしい。志らくは、この話題はまったく触れなかった。
『六尺棒』、久しぶりのネタだな。昔やっていた楽語ザムービーという番組で、当時の中村橋之助が父親役をやっていたような記憶。ま、前座だから、あの程度。
『源平盛衰記』。この面白大ネタは、ネタ出しだけど、トリかなと思っていたら、このタイミングで。
談志が得意としていたネタで、ユーチューブで観たことがある。義朝の話しから始まって、清盛は、頼朝などを生かすが、裏切られ、木曽義仲と闘って、最後は壇ノ浦という、平家物語を粗筋としてしっかり持ちながら、その中で縦横無尽に話すという、難しいというか、噺家の日頃の関心と知識、楽しみが、ごちゃ混ぜになっていて、それを語りきる実力が無いとできないネタ。
楽しみにしていたんです。
いやあ、志らく、久しぶりと言っても良いけど、やったね、語り尽くした感じ。よくあそこまで、話題を飛ばしながら、ちゃんと粗筋に戻って、また飛ばして、発展していって、時空を越えた無茶苦茶話を聴きました。どこに話題が飛ぶか解らない。でも、ちゃんと受ける話題に飛ぶ。大したモノだ。
今時、ここまで、無茶苦茶と見えつつ、キチンとした噺を語れる落語家は他にいるだろうか。台本なんてできっこないから、大本はできているんだろうけど、その場の感覚で、話題を振るんだろう。頭が良いとできない。古典芸も必要。体調も、心調も整えないと。
絶賛します。昔の志らくが戻ってきたようだった。これならば、百席最後まで聴くよ。義理でも義務でもなく、楽しみに。
『子別れ』は、酒と女に溺れた父・夫が、できた女房に愛想つかれて別れたが、酒と女を断って、立派になる。そこに、生き別れだった子と偶然再開して、家族のよりを戻すという噺。何度も聴いているけど。
『源平盛衰記』の後だけに、どうするかなと思っていたら、あまり変化させずに、くすぐらずに、古典の名作を、そのまましっかり語りました。人情噺っぽいが、笑いも入るネタ。イリュージョンを入れない話しぶりも、良いんじゃないかしら。
グッドラックが終わって、良かったんじゃないかな。志らくは、落語が良いよ。
大ネタ2席、お疲れ様でした。
これで、八十九席終了のハズ。計算があっていれば。後、十一席はやるでしょう。ちょっと前迄、第1回からここまで聴いたんだから最後まで聴こうね、と決めていた程度だったけど、今日の噺では、もうすぐ終わっちゃうのか。
このシリーズは、「志らく百席」「続・志らく百席」「新・志らく百席」と続いているはずで、百席は、最初からすべて被らないように決めているはず。それぞれのシリーズでは、被っているだろうけど。3つのシリーズが来年には終わるけど、シリーズ4はあるのだろうか、などと心配するほど、出来が良かった落語会でした。面白かった。