4月24日(土) 横浜ジャック&ベティ

2020年 チェコ映画

監督:バーラ・ハルポーヴァー、ヴィート・クルサーク(原案も)

 

前日の新聞に評論が書いてあって、上映場所を調べたらジャック&ベティだというので急遽鑑賞。

その新聞評にも、吐き気を催すドキュメンタリーとあって、まさしくその通りで、どうもブログアップする気が起こらないが、日記の側面もあるブログなので、記録的に書かない訳にはいかない。

 

幼い顔立ちの18歳以上の女優が集められて、12歳の女子という設定で、撮影用にセットされた並んでいる3部屋がその女子たちの「自室」になって、部屋に設置されたPCを使って、撮影用に設けられた偽IDを使用し、フェイスブックなどのSNSを使い「友達募集」して、男たちからどんな反応があるかを記録した映画。

よく知らないけど、チャットっていうのかしら、画面が見えて、ネット越しではあるが直接に会話ができて、家族に秘密でできて、30歳、40歳、50歳、60歳、70歳の男たちから、相手が12歳と解りつつ、卑猥な会話や映像のやりとりをする。

チェコ法では、12歳の少女に卑猥な性的な会話をしたり、誘ったり、画像の交換をすることは、はっきりした犯罪であるらしい。児童虐待。出演する女優たちは、実際は12歳ではないのだけど、12歳だけど大丈夫か、と必ず問う。

少なくとも、記録に残る男たちは、全員が問題ないと、気にしないと回答してから、チャット会話に移る。

 

その中で男たちは、自己の性的欲望を押さえることはせず、胸をちょっとだけ見せて、とか、要求し、段々エスカレートしてくる。半数程度の男たちは、画面越しにオナニーをしているのが映っている。

 

女優たちにはルールがある。

1.自分からは連絡しない(電話がかかってくるのを待つだけ)

2.12歳であることをはっきりと告知する

3.誘惑や挑発はしない

4.露骨な性的指示は断る

5.何度も頼まれた場合は、写真加工した胸を見せた写真を送る

6.こちらから会う約束を持ちかけない

7.撮影現場にいる精神科医や弁護士などに相談する

 

それでも、男たちは自己の欲望だけの為に、優しい言葉をかけ、誘うような画像を送りつけて感想を聞き、いつも相手の自由意思だよと言い、しかし、要求をエスカレートして、なるべく二人で、秘密で会おうと誘う。

そして、隠し撮りされているとも知らずに、会いに来て、女優から、酷い奴と罵られて、ばらすぞと言うと、みっともなくも怯えて、ことを収めようとする。みっともない。

 

映画の中では、一人だけ、20歳過ぎの若者が電話してきて、至極まともな会話をする。まったく性的欲望はないのだと。気をつけなくてはいけないのだと、でも決して説教したい訳ではない。

このチャットでは、女優は泣き出してしまう。ああ、こういう人も希にいるんだあ、と。

 

驚いたのは、こういうシステムが誰でも使用可能だと言うこと。

どういうやり方か知らないけど、そういうページを作ることができて、そこに参加できて、卑猥なやりとりが可能だということ。

成人女子が自由意思で参加するのならば構わないのかも知れないが、12歳だと明示したアドレスで会話できる、それを運用して利益を上げる(広告収入か)企業があると言うこと。

日本では、こういうものは警察の監視下にあるのか。あるいは、自主規制してクローズしてしまうのか。それとも、ワタクシのような爺さんでも参加できるのか。

ニュースで、ネットで知り合って、ということを良く聞く。

今の若い子たちは、ネットを通してしか友達が作れないのか。

 

もっとアナログ的にお付き合いしたらよろしいのに。デジタル的なお付き合いはしないように。

いや、こういう空間を作ってしまうことが悪いのです。インターネットは、とても便利なツールで、現代社会には欠かせないけど、逆に、これまで以上に、想像することのできないデメリットがあるのではないか。

大げさに言えば、人間の危機。

 

スケベな男たちの、言い寄り、言い訳、確かに吐き気がするが、自身を省みて、アナログ世界では、そういう誘い、要求行動はあったのです。

 

嫌な映画だけど、嫌な記録だけど、事実ならば直視しなければならない。

 

チェコというと、イメージは、プラハの春。バーツラフ広場。反スターリン。

一度旅行したことがあるけど、中央欧州の歴史を感じさせる街並み。是非、もう一度訪問したいのですが。