4月21日(水) エポックなかはら
開口一番 春風亭貫いち 『平林』
『人形買い』
『夏泥』
(仲入)
『鼠穴』
一昨年の4月に、ここで一之輔独演会を聴いている。去年もチケットを買ったがコロナで延期、そのままのチケットで今回通用。
比較するようなモノじゃないけど。
前座の噺。あまり印象にない噺。旦那から平河町の平林さんに手紙を届けるようにと命じられて出かける定吉。字が読めないから、通行人に宛先の名を読んで貰う。主人からはヒラバヤシと言われていたが忘れている。最初はタイラバヤシ、次はヒラリン、イチイチジュウノモクモク、更に、ヒトツトヤッツデトッキッキ。良く読めるなあ、という読み方。間違えずに言えました。前座にしては早口にならず、比較的ゆっくりと。
4番弟子と言っていたが、もうすぐ二つ目かな。
『人形買い』、初めてだと思う。長屋の連中の代表として、買い物上手と言うことで人形を買いに行くが、予算は5円、なんとか4円に値切って、残りで冷や奴で飲もうじゃないかという算段。人形屋で店の前に並んでいる人形を、10円というのを4円に値切って、しめしめ。二つあって、長屋の連中にどちらが良いか選ばせるからと、丁稚を連れて帰り道、おしゃべりな丁稚が、実はあの人形は捨ててしまうところ、バカなやつが買うかも知れないのを置いておいただけ、と聞く。そのほかにもおしゃべりな丁稚が色々喋る。
マクラは時節柄当然コロナの話。話しも面白くて、爆笑一之輔。
『夏泥』も初めてかな。下手な空き巣が、却って一文無しの住人に金を召し上げられる噺。純情な、下手な泥棒の様子がおかしい。巻き込まれて言ってしまう。爆笑。
一之輔は、引っ込むことなく2席連続する。
仲入後は『鼠穴』。田舎から弟の竹二郎が出てきて、兄様に無心するという辺りで、あれまあ、『鼠穴』。人情噺だよ。一之輔やるんだと。
3文だけ貰って、悔しいが一生懸命働いて、見返してやろうと。10年後にその3文を返し、利息として2両を付ける。兄の真意を知って、楽しく飲むが、火事が起きて、竹二郎の蔵に開いていた鼠穴から火が入って、一文無しになってしまう、兄に助成を頼むが5両しかくれない、付いてきた娘が自分を吉原に売って50両拵え、それで商売を再開しようと、が、帰りの吾妻橋で掏摸取られ、悲観して首をくくろうとすると、夢でした、という人情噺。久しぶりに聞いてみると、田舎から兄を頼って出てくる話しはあるし、娘を売るとか、身投げとか、吾妻橋とか。
一之輔。この人情噺を、あまりくすぐらずに、キチンと喋る。ほお、一之輔、こんな人情噺もできるやんけ、しかも、ちゃんとできるやんけ。ちと、見直す。仲入前の爆笑はないが、客も、しんみりと聞き入る感じ。成功でした。
最近は柳家三三に夢中だけど、一之輔はやはり良いなあ。一皮むけた一之輔。これもコロナ効果かしらん。また、一之輔チケット買ってみようかしら。