11月26日(木) 横浜みなとみらいホール
<第1部>
・サンサーンス 交響曲第3番オルガン付き 第2楽章から
パイプオルガン:近藤岳、荻野由美子
・近藤岳 オルガンのための獅子
笛:竹市学 仕舞:梅若紀彰
・ラヴェル ボレロ
<第2部>
・いだてん、より
・オールウェイズ3丁目の夕日
・GOOD LUCK
・バルセロナ(クイーン)
・ヘンデル アン女王の誕生日のための頌歌より第1曲
ソプラノ:黒川青葉
・炎のランナー
・花は咲く
・オリンピックファンファーレ
みなとみらいホールのパイプオルガンは、滅多に聞くチャンスがないと思っていて、そのパイプオルガン演奏会だと言うこと、また、梅若紀彰師がそのパイプオルガンに合わせて仕舞を舞うということで、参加。
みなとみらいホールのパイプオルガンは、「ルーシー」という愛称があるらしい。
今回は、みなとみらいホールのホールオルガニストを1998年の開館以来務めてきた三浦はつみさんが、今年12月で退任されることの記念でもある。だからGALAか。みなとみらいホールは、来年1月から大規模改修に入るので、その機会に、と言うこともあるか。
みなとみらいホールのルーシーは、なかなかよろしいのです。
かつて、学生時代に、出来たばかりの渋谷NHKホールに、土曜日の午後にN響定期演奏会に通っていたが(駒場キャンパスから歩いて行けるのです)、当然その頃は金がないので、安いB席くらいだったけど、そのNHKホールの不満の一つが、パイプオルガンの位置で、向かって右手(上手と言うのか)側の中断にあって、一度聞いた時に、どうも妙な方向から音が聞こえてきた感じで、違和感を覚えていた。
大体、パイプオルガンが装備されているコンサートホールはそんなに多くはないと思うけど、その中で、みなとみらいホールにできたパイプオルガンは、正面中段に、ドシンと存在して、そこにあった。ある。
みなとみらいホール開館後、しばらく行かなかったけど、ここ数年通うようになって、やはりこのルーシーは、見ているだけでもよろしいなと思ったりしていた。
その演奏会だと言うことで、参加することの一理由にもなった。日フィルの定期演奏会で、2回くらい聴いたのかな。
しかし、今回の目玉は、梅若紀彰先生の創作仕舞。なんと言ってもこれじゃ。
確保して頂いた席は、1階正面中央という素晴らしき席。こんな席のみなとみらいホールに来たことがない。いつもは2階の最前列。周りのお客様には、紀彰師の関係者が多くいらして、おお、大分売ったなあ、と。
で、演奏会。第1曲のサンサーンスは、まあ重厚な曲で、パイプオルガンらしいと言えば言える。オルガンのために作曲した曲だから。
さて、お目当ての紀彰師。能『石橋』を題材にした新曲で、紀彰先生の仕舞も、色紋付き袴に直面の、『石橋』を思わせる仕舞。両袖を持つところ、足使い、跳び回りなど、『石橋』に用いられる型を多用。登場は、下手の暗がりから衣被で。こんなシーンは『石橋』にはなかったと思うけど。暗がりの雰囲気は良く出ていた。
さすが、紀彰先生で、赤頭もなし、面もなしで、しっかりと直面で、腰と目を据えて。格好いいなあ。揺るぎない。瞬きしないのですね。
笛の竹市さんも、素晴らしい音色。出だしの高音部、ピーッと。
パイプオルガンとのコラボと言うけど、コラボする必要ないねえ。一調で聴き、観たい。完全に、お能の勝ち。
ボレロは、やはりパイプオルガンだけでは弱いし、踊りもベシャールの印象が強すぎて。紀彰先生、どうにかこの曲で、ベシャールに負けない、お能の型の仕舞を、作ってくれないかしら。半裸になる必要はないし、美しい衣装を着けた(色紋付きでよろしいのだけど)、お能の仕舞を観たいような。
第2部は、総じて、ダメでした。ヘンデルだけは良かった。やはりパイプオルガンはバロックが合う。それにこのときのソプラノが良かった。綺麗な良く通る声で。高音も素晴らしい。だが、マイクの使い方が悪かった。良い調子の高音部でハウリングを起こしそうになるか、割れそうになる。あの静かなバックならば、音響効果の良いホールなのだから、マイクなしで声は通るだろうに。
黒川青葉さん。相変わらず紹介に年齢は書いていないけど、若手。白の、肩を出したロングドレス。日本の名曲や、賛美歌などのCDを出しているらしいが、それで良いんじゃないかな。ソロで、澄み切った声だから。ぽっちゃり方で可愛い。
あとは、だめ。パイプオルガンが勿体ない。折角のパイプオルガンなのに、もっと相応しい曲にしようよ。やはり、バロックしかないか。パイプオルガンの為に作曲された曲じゃないとダメか。
でも、最近そんな曲ないし、練習する人も、演奏家も少ないんだろうな。チャンスがないから。
ホールじゃなければ、聖なんとか教会のようなとこ。パリのノートルダムで、朝のミサで、賛美歌で聴いた時の感動は忘れない。やはり、宗教音楽だよね。日本には無かろう。