11月22日(日) 横浜能楽堂

講演 馬場あき子

(休憩)

能 『木賊』 (金春流)

  シテ(老翁)櫻間金記 子方(松若)水上嘉 ツレ(里人)柴山暁 ワキ(旅僧)宝生欣哉

  笛:一噌庸二 小鼓:観世新九郎 大鼓:國川純 地頭:本田光洋

 

馬場あき子さんは、前回に引き続いて、用意されている葛桶に座らずに、熱演。喋りたいことがいっぱいあるようだ。

今回の能『木賊』の歌枕は、前半が園原山(長野県下伊那郡阿智村)の木賊、後半が、美濃国から信濃国に抜ける旧東山道伏屋の帚木。

帚木と言えば、源氏物語の巻1、第2節の「帚木」。これも和歌の世界で、園原の木賊や帚木も、万葉集だとか新古今和歌集に歌があるらしい。

知らんかった。今回のお能は、そういう和歌の知識がないとわからないようだ。源氏物語は、瀬戸内寂聴訳で一度読んだだけで忘れているし、新古今和歌集などさっぱり。せいぜいが百人一首の無知識人としては、今回のお能は難しかろうなという予感が、この解説段階で、予感される。

でも、馬場あき子さんは、大したモノだ。

 

能『木賊』は初めて。事前学習しようにも、なかなか資料がない。能楽銕用のようなモノにも掲載されていない。

そういう意味ではぶっつけで、鑑賞。で、馬場あき子さんの解説によって、不安は増す。

で、やはり爆睡してしまった。

子方は良かったです。年齢等不詳だけど、若い声で。ワキ方と並んで、脇座に座っていたが、あの座り方は大変なんです。シテ方でもできない。ワキ方は訓練と慣れによってできるらしいけど、子方の水上嘉くん、よくできました。脚が痛かったでしょう。

ツレとシテが、橋掛かりから登場してきて、名ノリなどするのだけど、シテ方の声が聞こえない。ツレは若いから声が出ているけど、シテ方の櫻間金記さんは、声が弱々しくて、更に面を付けていて、声が聞こえないのです。足つきもヨロヨロと。これは老翁の演技かも知れないけど。

難しい曲内容で、美しき舞なども無いし、詞章と和歌を楽しむしかないのに、その声が聞こえない。地謡もわからない。これでは、眠くなります。で、後半は爆睡してしまいました。

相当玄人向けの曲じゃないかな。

馬場あき子さんの解説付きじゃないと、そもそも来場しないかも。

結構、辛い能会でした。これも経験か。