11月14日(土) 国立能楽堂

解説 「能に見る瞬間の造形」 林望

狂言 『樋の酒』 (和泉流 野村万蔵家)

   シテ(太郎冠者)野村万禄 アド(主)野村万之丞 小アド(次郎冠者)能村晶人

(休憩)25分

能 『俊寛』 (観世流 宗家)

   シテ(俊寛僧都)岡久広 ツレ(平判官康頼)藤波重彦 ツレ(丹波少将成経)北浪貴裕 

   ワキ(赦免使)村山弘 アイ(船頭)小笠原由祠

   笛:藤田朝太郎 小鼓:森澤勇司 大鼓:亀井実 地頭:武田宗和

   面:シテ・俊寛

 

制服の女子高校生が多数参加していた。多分学校の行事だろうが、騒ぐことなくして、寝ていても静かで、良いことだなあと思う。教師の姿はあまり見えず、生徒の自主性に任せているみたい。どこの学校かわからなかったけど、JKと呼ぶのは失礼な感じ。

 

なんでだろうか。朝は元気で希望に満ちていたのに、解説から、その後半から寝てしまった。俊寛の人物像を話していて、面白いなと思っていたのに、気付いたら寝ていた。寝る自覚なくして・・。こういうことじゃあ、やはり、車の運転はできない。

 

狂言『樋の酒』は何度も観ていて、もう良いかという感じはあった。だからか、始まって直ぐに、寝た。悪くないのだけどね。

 

能『俊寛』は2度目。最初は2019年11月の観世九皐会。今回も観世で、宗家筋。期待していた。お勉強もしたし。

このお能は、舞がまったくなくして、謡と語りばかり。だけど、わかりやすいストーリーだし、有名な俊寛だから、楽しみにしていて、寝るはずがないと思っていた。

だが、始まりから緊張感がない。ゆっくり橋掛かりをシテが進んでも、ドキドキしない。どうしてか。

こちらの体調もあるでしょうけど、どうしてかな、楽しくない。次第があっても、あの緊張感が出てこない。素人だからか良くわからないけど、やはりシテの力量かと思う。シテが、舞台を支配できていない感じ。確かに、詞章は間違っていないし、動作も間違いはないけど、俊寛の、驚きや無念さ、寂しさが、伝わってこないのだ。こっちが、受け手が悪いのかもだけど、どうして感動してこないのかなと。

稚拙な結論は、やはり、シテの上手下手ではないかなと。お能は、一期一会で、うまく行かない日もあるのですが、それだけじゃあなくて、シテの力量か。

シテの岡久広は、1949年生まれの69歳か。経験は十分だけど、経験だけじゃあ、お能はできないでしょう。逆に、それだけ経験があるのに、あの舞台か。重要文化財の総合認定者にもなっていない。あの経験なのに。さもありなんだね。

 

シテ方の経験者で、観世流宗家筋であっても、ダメな人はダメなのかも知れない。

舞台を支配できない、登場だけで、緊張感を溢れさせることのできるシテ方じゃあないと、ダメなんだねえ。

梅若紀彰師がなんと素晴らしいか。

高等遊民。お能というだけで感動していた時代が過ぎたか。上手の、素敵な舞台を見たい。数を見て初めてわかることか。