11月7日(土) 妙壽寺

一之輔独演会

 開口一番 春風亭いっ休 『出来心?』

 『?』

 (仲入)

 『?』

(休憩)

一之輔・浅見慈一・住職 座談会

ミニレクチャー 『石橋』の見どころ 小早川泰輝

(休憩)

仕舞 『葛城』クセ 浅見真州

    『小鍛治』キリ 小早川泰輝

(火入れ)

能 『石橋』 (観世流 代々木果迢会)

  シテ(童子 獅子)浅見慈一 ワキ(寂昭法師)村瀬堤 アイ(仙人)山本泰太郎

  笛:八反田智子 小鼓:大倉源次郎 大鼓:原岡一之 太鼓:梶谷英樹 地頭:浅見真州

 

去年も行った代々木果迢会のお能で、千歳烏山から徒歩20分、法華宗(日蓮宗)の妙壽寺で行われる企画。住職の奥様が、代々木能舞台の浅見家の生まれで、弟の浅見慈一に頼んで、10年前からお寺での能会が始まった。その奥様が一之輔ファンになって、人を介して落語会まで催して、昔は、1部2部入れ替え制だったのが、通し企画になったモノ。

なかなかの歴史ある寺で、世田谷区文化財に指定されている鍋島客殿を臨時公開したりして、また、お庭には素敵な竹があるので、それを切り出して立てて燈籠にするという、お寺の特別企画。

珍しいし、竹灯籠は綺麗だし、鍋島客殿は特別だし、一之輔は好きだし、と言うことで、去年に引き続いて参加。

去年は、11月で、同じ時期なのだけど、もっと寒かった。

 

一之輔の落語は、去年も演目紹介がなくて、今年もないので、何だかわからない。

いっ休は、姿を見ただけでわかるから、開口一番は、何するかなと思ったら、『出来心』かしら、でも途中で締まり無く終わってしまったので、時間切れか。でも、まあうまくはなってきた。

その後の一之輔2席は、聞いた噺なのでけど、演目紹介がなくて、思い出せない。翌日になると、内容すら良く思い出せない。演目名によって、記憶が換気されるようだ。情けない。確かに、聞いたことがある演目なのだけど。

 

落語ファンと、能ファンと、お寺関係者がごちゃ混ぜになっていて、何だか統一されていない風。統一される必要は無いのだけど。最前列のおばちゃん二人が、落語で、なんだかやけに楽しそうに、キャッキャと笑っているのは、落語会としても、変。

来年は、もう止めようかな。核の奥様は亡くなったようだし。でも、今の住職がいる限りは続けるかいな。

 

でも、能『石橋』は、さすが伝統芸の能楽で、代々木果迢会で立派。

本堂という、広いようで狭く、目付柱も、橋掛かりも無いのに、よくできるモノだ。

出演者をよく見ていなかったが、囃子方の入場でビックリ。超一流じゃん。笛方の八反田さん以外は、よく見る顔。だけで無く小鼓は人間国宝。良い声だ。良い調子だ、ぴったり。

前場は、前シテ童子とワキ法師との語らいばかりで、眠くなる。石橋のことなどを話しているのだろうけど、手元に何も無くて、予習もしていかなかったから、わからず、ついうとうと。

中入で、アイが出てくると、なんと山本泰太郎さんではないか。チラシをよく見ると、確かに。このチラシが、能楽関係が作っていないから、紹介やら、ポイントがずれる。貫禄の、アイ仙人。自己紹介から、ちゃんとわかる。

後場は見応えあり。取り分けて、囃子方だな。このために、このメンバーだったのか。あまり聞いたことがない囃子だけど、勇壮で、豪華で、素晴らしい。

登場した後シテ獅子も、赤頭で、激しい舞というか、動き。飛び上がって、くるりと回って、肘を突いて座るなどと言う激しい動作を、あの狭い会場で、立派に。一畳台も出てくるが、そこからくるりと飛び降りて、膝を突いたり。鍛え抜いた身体能力と稽古の賜。

『石橋』は、後半だけの半能としても演示される、むしろ半能が多いとも言われるが、成る程ね。どうせストーリーは大したことは無いんだから、後場だけの半能で、見所は満足できるだろう。

 

座談会で、落語とお能の結びつけを必死にやりたいようだけど、やはり異質だよ。当高等遊民のような、両方ファンなる人は多くないはず。

それにしても、代々木果迢会は偉い。立派。あの会場で、『石橋』をキチンとやってしまう。囃子方も、床几も出せないのに、後見もいないのに、あの激しく勇壮な囃子をやり遂げる。

能は、当代一流。お寺の本堂で。対して一之輔も大したモノなのだけど、落語家は、呼ばれたら何処でもやらなくちゃいけないのだけど、並べられると、苦しいと思う。

 

コラボも良いけど、やはり、別々に、それだけで楽しみたい。

ブログの、テーマが、能にするか、落語にするかの問題もある。能にしたけど。

両方素晴らしいのですが、中途半端になりがち。ならなかったけど。客の方が混乱する。