9月22日(火・祝) 国立演芸場

前座 入船亭扇ぼう 『たらちめ』

二つ目 林家彦三 『がまの油』

林家正雀 『大店の犬』

桧山うめ吉 俗曲 舞

林家正雀 『梅若礼三郎』

 

国立演芸場の特別企画公演。毎年やっているんだろうか、林家彦六を偲んでの回。

永田町駅から国立演芸場方向に歩いていると、後ろからガラガラとキャリーバッグを引く音。何気なく振り返ると、きちんと着物を着て、頭も綺麗に作っている女性。観ると、あれまあ、桧山うめ吉姐さんじゃないの。今回の落語会は、この桧山うめ吉が出演するというのも楽しみの一つだった。そうか、ああいう色物の出演者は、車ではなくて、電車で、全部身繕いもして、1人で荷物を持って歩いてくるんだねえ。そうだなあ。真打ちクラスで、前座を弟子に持つ噺家とは違うなあ。

 

まだ、市松模様の席で、盛り上がらないことはな甚だしい。

 

前座は、ダメ。どうして前座はああして早口になるのかしら。持ち時間が少ないから仕方ないのだけれど。

 

二つ目になったばかりという彦三も、彦六の持ちばなし『がまの油』。前座よりはうまいけど、別にどうってことはない。

この辺りから眠気。

 

いよいよ真打ち登場で、林家正雀。この人は、アドリブが効かないけど、というか、アドリブ的な部分も事前に準備してくるから、何度も同じ話を聞くと、マクラからわかってしまう。それが、何度話してもほぼ同じ調子というのだから、うまいんだろうね。お稽古しているんだろうね。

ま、今回は、この正雀目当て。で、『大店の犬』。最近できたユーチューブの正雀チャンネルで公開している。江戸の商家の店先に捨てられていた3匹の子犬。大阪の鴻池がわざわざもらいに来る。が、黒犬だけ。後の、白犬とぶちは、いらないと。黒犬は贅沢三昧、哀れな残りの2匹の内、ぶちは死んでしまって、白犬は大阪の鴻池を訪ねて、兄黒犬に助けて貰うという噺。

マクラも、動物の小話。白犬が鴻池に行った辺りから、ふと気付くと、寝ていた。

 

ここで一旦幕が下りるが、休憩はない。コロナのため。

幕が上がって、桧山うめ吉。前にもブログに書いたと思うが、良い声。上手な三味線。ホントにこんな人をお座敷に呼べたら良いだろうな、等と考えながら、聞き入る。前に聴いた時と、構成がまったく変わらず。15分くらいの時間だと、こうすると決めているのでしょう。じゃないとできないよね。2度目なので、小歌もよく理解できて、聞き取れる。ちょっとした舞も披露するが、こっちは修行中って感じかな。

これは、眠くならない。

 

で、メインの『梅若礼三郎』。ちゃんとやると、90分から100分はかかろうという代物だけど、60分の予定。さて。

能役者に似たいい男の礼三郎が、盗賊で、義賊で、婦人にお金を沢山恵んだが、その隣の貧乏に取られた上、大盤振る舞いをして怪しまれ、○に三の刻印が付いた小金だったから足が付いて、たどって、最初に貰った婦人にたどり着くが、恩を仇にしてはいけないからと言うので、誰から貰ったか、拷問されても口を割らない。そのことを、近所の長屋の人々が悲しんで、水垢離をして、酒を飲んで、噂話をしているのを聞いた、礼三郎。これは悪かった、と自首する人情噺。

どこを、サボったか、気がつかなかった。結局、80分ほどかかったから、きちんとやったのかな。

この話は、六代目三遊亭圓生のユーチューブ(音声のみ)があって、これを聴いていた。八代目圓生が、すなわち林家彦六で、正雀の師匠。彦六のは、音源が残っていないのかな。

さすが名人圓生。正雀とは格違い。

まあ、大作の人情噺。本来は、こういう噺をする時の番組は、ボクの予想では、軽い前座の後、正雀が『梅若礼三郎』をじっくり語り出し、通しては語れないから、休憩を入れて、そこで一休みで桧山うめ吉。で、最後に人情噺をたっぷりと、最後まで、というのが良いんじゃないのかな、と感想に書いて出しておいた。

 

二つ目の噺と、正雀の前の短い『大店の犬』が不要と思うが。

正雀も、もっと感情をあらわにして、込めて、語った方が良いと思うけど。圓生と比べたらマズイか。