8月27日(木) 国立能楽堂
解説 佐々木多門(喜多流シテ方)
狂言 『盆山』 (和泉流 野村又三郎家)
シテ(男)奥津健太郎 アド(家主)野口隆行
(休憩)
能 『清経』 (喜多流)
シテ(平清経)長島茂 ツレ(清経ノ妻)大島輝久 ワキ(粟津三郎)則久英志
笛:成田寛人 小鼓:森澤勇司 大鼓:原岡一之 地頭:狩野了一
ショーケース4回目。解説も4回目になると、退屈。寝た。
狂言『盆山』、初めて。有名な『柿山伏』に似る。山伏がお腹が空いて柿を盗もうというのとは違って、流行っている「盆山」が欲しくて、知り合いらしい家に忍び込んで盗もうとする。そこで家主に見つかって、犬じゃ、猿じゃとなぶられて、ビョーびょーとかキャーキャーキャキャなどと鳴き真似をする。最後は、なんと鯛じゃとなぶられて、背びれがあるはず、と。これは扇を広げて背中へ。更には、鳴くと言われて「鯛鯛」と鳴く。許されませ、許すまいぞ、でお終い。
嘘でしょう。どうして街中に鯛がいるモノか、鯛が鳴く訳がなかろう、などと狂言では考えてはいけない。
野村又三郎家は、まだ、又三郎以外は芸が達者ではない。
盆山とは、盆栽が盆の上の木々の様子であるが、盆の上の、岩山の風景か。これはなかなか良さげ。何だか、試してみたくなる。
能『清経』は3回目。2019年7月に金春流。2020年3月に観世流。で、今回は喜多流。3流派を観たことになる。
物語は、源氏に追い詰められて入水自殺したシテ平清経(清盛の孫、重盛の子、笛の名手)の遺髪を、部下のワキ粟津三郎が京の清経の妻(シテツレ)に持って上京するものの、入水に不満な妻は宇佐八幡宮に返してしまう。それを恨んで、互いに恨んで、シテ清経ノ幽霊が武装して現れて、戦いの様子や心境などを語り、舞うという修羅モノ。
役者は、若手が中心で、良い声だなあ。重厚感はないけど、若手も良いモンだと思います。
丁度、紀彩の会の発表会に向けてのお稽古で、仕舞『清経』が取り上げられていて、ボクは『竹生島』にしたけど、Fさんが『清経』で、先日の初めての通し稽古で、極めて上手に舞っていた。『清経』は『竹生島』と共に、いままでの優雅な舞とは違って、大きくヒラクとか、大きくサスとかがあって、やりがいがあるのです。
そこで、能『清経』の仕舞部分を楽しみに。能と仕舞の違いもあるとは思う。太刀を抜く時には扇子を太刀に見立てないで、太刀を持っていた、がそれだけではなくて、喜多流と梅若との型付けの違いが沢山あった、と思う。型の向きや、動作が異なる。
こういうのを理解できるようになると、高等遊民の能の鑑賞も上達というか、ヨリ面白くなる。お稽古した謡と仕舞、流派の違い。
感染対策としては、地謡が3人2列。特に間隔は広くない。7月20日金春流『猩々』は2列6人で一反木綿を着ける、7月23日観世梅若の『土蜘蛛』は九皐会と同じく、5人1列。7月25日宝生流『羽衣』は4人1列。で、今回の喜多流『清経』は3人2列。
もう一回、9月3日に観世流九皐会『安達原』があるが、多分5人1列のハズ。
こういう流派の違いは、どこから出るモノかわからないけど、まあ、能楽協会などでそこまで決めることでもないので、各流派にお任せでよろしいはず。
今回は、GB席の最後列3列目。薄暗いし、声が聞きにくい。座席数半減で、チケットが取りにくくなっている。この状況はしばらく続くのでしょう。仕方なし。