8月16日(日) 横浜能楽堂
狂言組 (大藏流 山本東次郎家)
『蚊相撲』
シテ(大名)山本東次郎 アド(太郎冠者)山本泰太郎 アド(蚊の精)山本凜太郎
(休憩)
『柿山伏』
シテ(山伏)山本則俊 アド(柿主)山本則重
お話し 山本東次郎
小学1年、7歳の孫を連れて、こども狂言堂へ。孫は能楽堂デビュー。コロナで短縮されてしまった小学校夏休みの最終日に当たった。
こども狂言堂は、去年も、山本東次郎家で、同じ『柿山伏』をやっていて、これは、ダイジェスト版が横浜能楽堂ユーチューブチャンネルで公開されていて、事前に予習しておくように孫に伝えていたが、やっていなかったよう。
山本東次郎家は、対象にこどもを加えても、決して手を抜いたり、こども向けに舞台を変更したりせずに、きっちり、はっきり、伝統芸能を正しく、真剣に演ずる。これは素晴らしいことだ。ここで何らかのことをすると、それを見たこどもが、ああ狂言というのはそんなんだな、と思ってしまう。
ただ、小学1年7歳の孫には、ちと難しかったか。コトバが分からないからね。振りの面白いところは見ていた。
もう来ないと言っていたけど、来年も連れてきましょうね。
『蚊相撲』で、蚊の精のお面を、ひょっとこだと言っていたのは、他に知らないからね。小声で、蚊の精だよ、といっても良く解らない。口にストローをくわえていると。太郎冠者が扇であおいで蚊の精を飛ばそうとするシーンは面白かったようだ。
こちらは、久しぶりの東次郎さん、いつもの歩みで、橋掛かりから早足でちょこちょこと登場する様は、ああ東次郎さんだ、と。あの高齢なのに、あの動き。泰太郎さんの太郎冠者も、真剣そのものの表情。
今回は、初めて、正面席の最前列。よく見えるのですね。孫へのおごりだけど。
凜太郎君の蚊の精も、ブーンブーンとよろしかったです。
『柿山伏』、大ベテランの則俊さんが山伏で、葛桶の上に登るんだ。もっと若い人のばかり見ていたが、こども狂言堂と言うことで、むしろ、ベテランを配置したか、東次郎さん。柿の木から落ちるシーンでは、ヒヤヒヤしながら大丈夫かなとみていました。
烏や、猿、トンビの真似はこどもにもウケていた。
東次郎さんのお話は、ほとんど去年と同じ。仕方ないけど、言いたいことはああいうことなんだよね、と。
アンケートに初めて答えて、東次郎家の真面目さと共に、2月8日の第十一回で終わってしまって、最後の十二回がコロナで中止になったままになっている東次郎家伝十二番の、最終回の復活・復元をお願いしてきた。用意された演目で、すでに完成していただろうチラシも使って、なんとか、最終回を実現して、家伝十二番を完結させて貰いたいモノだ。あのシリーズをそのまま未完にしてしまうのは、勿体ないし、古典芸能にとっての大損失だと思うのです。
最後は、十二番纏めて、本にしたりすれば良いのになあ、と今でも思っています。東次郎さんが元気な内に、是非是非。