7月8日(水) 国立能楽堂
狂言 『瓜盗人』 (大蔵流 宗家筋)
シテ(男)茂山忠三郎 アド(畑主)大藏基誠
笛:竹市 学
(休憩)
能 『氷室』・白頭 (喜多流)
シテ(前:老翁 後:氷室明神)粟谷明生 前ツレ(男)佐藤陽 後ツレ(天女)友枝雄人
ワキ(臣下)殿田謙吉 アイ(社人)大藏彌太郎、吉田信海
笛:竹市学 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓:山本哲也 太鼓:桜井均 地頭:長島茂
面:前シテは「小尉」、後シテは「べし見悪尉」 後ツレは「小面」
いよいよ復活。国立能楽堂主催公演。実に3ヶ月半ぶりの能楽公演。
感染防止対策は結構厳しい。まず、チケットセンターに入る時に手指消毒。建物入り口で体温測定と手指消毒。雨が降っていて、前は、傘立てがあったが、使用禁止で、傘袋配布。ロビーから入ると、いつもは沢山あったチラシ類が全部撤去されていた。能楽関係の売店も無し。パンフレット「国立能楽堂」7.8月号は、常と異なる場所で、ビニール防御を経ての購入。590円で、1000円札で買うことを予定していて、小袋に予め釣り銭が小分けされている。
別に記載するが、別室の資料展示室の見学は自由なのだけど(もともと無料)、ここに入る時にまた手指消毒。
計わずか10分ほどの間に、3回も手指消毒。レストランには入らなかったけど、ここでも手指消毒があったのかも。入口1箇所で十分ではないかな。
席は、市松模様に配置されていて、前後左右に見物が居ないので、席を確保できた人には、実に見やすい。今後も、この間隔が良いなあ、なんて贅沢かしら。
『瓜盗人』、2回目との記録。前回は2019.7.15鎌倉能舞台善竹家と。
舞台上には、最大2人だし、密にはならないから、常と同じ演技だろう。
ストーリーは、売りを盗みに来た男と、畑主との争い。最初は案山子を置くが、怖がったモノの案山子とバレて、帰って荒らされる。ではと今度は畑主が案山子に化けて好き放題の盗人をからかって、最後は許されませ。
前に観た時は、もっと短かったような。大藏宗家筋だけど、瓜畑が暗闇という感じが出てなくて、明るいところみたい。
『氷室』初めて。
常の通り、囃子方、地謡が入場。地謡なんて完全に密だけど、飛沫が飛ぶのは必至だけど、そのまま。考えてみれば、決して眼鏡や腕時計もしないのであって、コロナだからといって、マスクやフェイスシールドをするはずがないか。ここで長年の伝統を壊す訳にはいかない。
一畳台と氷室の作り物が登場。
ここで、「真ノ次第」で、ワキ方が登場。脇能だから調子の良い次第。この「真ノ次第」で、ぶるっとくる。囃子方が素晴らしい。ああ、久しぶりだ。胸が高まる。
名ノリを経て、「真ノ一声」の笛が、ピーッと響くと、もうダメ。ああ良いなあ。もはや曲目やストーリーとか流派ではない。この雰囲気に感激、感動。
もうここで、ウルウル。きっと、役者たちも、力が入ったのでしょう。見所と一体の雰囲気。
前半は、謡が中心だけど、今回は、装束に眼が行く。袴の着装訓練をしたからだろう。どうやって来ているか、など。地謡の袴の履き方も気になる。
前シテが、作り物の中に入って、物着。結構大胆なお着替えなので、幕が揺れる。アイ狂言も一生懸命。
後場は、まず後ツレ天女が登場して、優美、優雅な天女ノ舞。美しい。ウットリ。そして、後シテ氷室明神が作り物からでてきて、舞働き、引き続いてキリの勇壮な舞。この前ちょこっと習ったばかりの、強いヒラキとか、ウチコミとか。格好いい。素晴らしい。
やっぱり、習うと、舞台を見ていても良く解るのだね。能楽鑑賞には謡と仕舞のお稽古が必須。
高等遊民。久しぶりの能楽、取り分けてお能に、感動感激しっぱなし。良いなあ、良いよなあ。止めらんないなあ。
完全ではないけど、高等遊民生活も復活。