偶然発見したユーチューブチャンネル。慣れた人は、こういうユーチューブを活用しているんだろうか。

無料で、こういうモノを、配信してくれるのは、ありがたいことだと思う。

 

ご存じ、神田松之丞が、真打ち昇進と同時に神田伯山という名跡を継いだ。講談の世界。興味は、一般的には、あったが、具体的に講談を聴いた経験は少ないし、にぎわい座での落語独演会の中のゲスト出演で、時間は15分くらいしかないから、欲求不満になっていた。

そこに、このチャンネルを発見して、見続けた。

 

『松之丞が六代目神田伯山になった日』(全30回)

2020年2月の、襲名披露公演の、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場で行われた、通算29回の襲名披露興行の記録の一部。

講談や落語そのものはあまり写さない。主として、楽屋風景。

これを全日分。

ああいう寄席は、そもそも行ったことがなかったのだが、その楽屋風景というのは、勿論初めてで、興味深い。それぞれの寄席で、楽屋のあり方は違うのだが、偉いヒトの座る場所というのは、なんとなく決まっているのね。序列が厳しい。昼席と夜席で、芸人が異なるから、また序列も変わって、面白い。

楽屋で、飲み始めてしまう師匠連。決して飲まない師匠もいる。自分の出番が終わるとさっさと帰ってしまう師匠と、終わっても飲み続ける師匠。でも誰か残っていないと、大トリの伯山が下がってきてからの、手打ちを主導する人がいなくて困る。その微妙な、関係。

各寄席の千穐楽前日は、会場を借りての打ち上げもある。それに参加するのは誰か。

師匠連中は、伯山に、ご祝儀を持ってくる。大した金ではない感じだった。数千円かな。1万円は行かない感じだったが。

また、前座連中に、お小遣いを上げる師匠連中。

口上に出ていただいた先輩には、伯山は、お礼に、帯を渡す。なんでも「帯源」の帯らしく、その帯を締められるのは二つ目では生意気、と。これは1本3~4万円か。

楽屋での遣り取りは、「今日の客はどうか」というモノが多い。受けが良いか、真面目か、硬いか、常連が多いか、等など。確かに、客によってノリも違うだろうから、大事ではあるけど、そういうことを露骨に聞くと、客側としては、逆にやや緊張する。

無理して、笑わなければならないか、盛り上げねばならないか。こっちは客だろう。笑わせろよ、感動させろよ、と。

でもそんな特別の29日間の、楽屋風景を公表する企画は、よろしいと思う。

行く気になるじゃないか。よし、今度は、寄席に行ってみようかと。講談に行ってみようかと。

 

『中村仲蔵』

そんな襲名披露興行のうちの一日、伯山が『中村仲蔵』を語って、それは全部公表。40分くらい。なんでも、千葉テレビの取材も入ったし、自分の語りだから良いか、ということかな。

このお話は、落語では聞いたことがあって、素晴らしい人情噺だと思っていたが、実は、講釈の方が先で、落語に持ち込まれたんですね。

で、その講談『中村仲蔵』。感動しました。思わず涙。「血」のない、役者がのし上がっていって、凄い工夫をして、大ウケするという感動話。落語でも良いけど、講談の方が良いかな。

 

講談に行ってみたいなあ。神田伯山に限らず、いろんな、講釈師がいるし。寄席の中の15分くらいでは、勿体ないと思うなあ。講談の常打ち小屋はないんだよね。