2月9日(日) 横浜能楽堂
狂言組 (和泉流 野村万作家)
お話 高野和憲
『文相撲』 シテ(大名)野村太一郎 アド(太郎冠者)岡聡史 小アド(新参者)内藤連
(休憩)
『伯母が酒』 シテ(甥)中村修一 アド(伯母)高野和憲
2日連続で、横浜能楽堂の狂言。
今回は、高野和憲が最高齢で、全体として若手ばかり。
『文相撲』は初めてだけど、初めての気がしない。『蚊相撲』に近いから。シテ大名が新しく雇うことにして、最初は4000人や踏歌と言いつつ、最後には身の丈に合って一人だけ。上下の街道に探しに出たアド太郎冠者が、通りかかった小アド新参者を見つけ、得意分野を聞くと、相撲が上手いと。で、大名も相撲が好きなので、勝負となる。やっとな、で開始。『蚊相撲』は蚊の精が勝つが、こちらは、最初は負けるが、秘伝書なるモノを読んで2度目は大名が勝つ。3度目はまた新参者。勝った勝ったと喜んで行ってしまうので、大名は、役立たずの秘伝書を丸めて捨てた上、太郎冠者を投げ飛ばして鬱憤を晴らす。
『伯母が酒』は2度目。2019年7月25日に国立能楽堂で大藏流山本東次郎家で。吝い造り酒屋のアド伯母が酒を飲ませてくれないのが不満なシテ甥は、鬼に化けて威してまんまと飲むが、バレてしまう。
どうしても東次郎家と比較してしまうが、今回のシテ甥は、役者が、実はそんなに酒が好きではないのかな。どうしても飲みたい、という雰囲気が出てこないし、鬼の面を持ち上げないと飲めないし、それから一々持ち上げるのが面倒なので横にずらし、横になりたいから右膝にずらしてまで飲みたい様子が伝わらない。
シテの酒飲み甥の心理描写が表面的。
今回の狂言堂は、総じて、若手の演技。皆さん、きちんと演じているのだけど、台本や教えられたとおりに演じているだけで、なんというか、なりきっていない。
まだまだだな。あの中に、一人でも野村万作などが居ると、全体がピシッとしまって、感情移入できる演技になるかな。