1月17日(金) 国立能楽堂
狂言 『竹生嶋参』 (和泉流 野村万蔵家)
シテ(太郎冠者)能村晶人 アド(主)野村万蔵
(休憩)
能 『海人』 (喜多流)
シテ(海人 龍女)友枝昭世(人間国宝) 子方(藤原房前)大島伊織 ワキ(従者)森常好
アイ(浦人)野村萬(人間国宝)
笛:杉市和 小鼓:鵜澤洋太郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:前川光長 地頭:粟谷能夫
面:前シテ・曲見 後シテ・増
GB席2列目で鑑賞。1列目に、何だか、若い女性達が集団で来ていて、おおそうか、能の新開拓だなあ、と感心していたら、狂言でも少し、能になるとほとんど全員撃沈で、頭が下がるから、2列としては前がよく見られて良かった。若い女子は、隣に被さるように寝てしまうのだね。年を取ると、ウトウトする位なのに。
GB席、場所的には気に入っていたけど、最前列は液晶パネルが見にくく、2列目以降だと、声が聞き取りにくい。
狂言『竹生島参』は2度目。芝居と言うより、秀句(駄洒落)だけのお話。あの竹生島とはあまり関係ない。無断欠席した太郎冠者が有名な竹生島にお参りしたと聞き及んで、怒らずに話を聴こうとする主。でも太郎冠者が話す内容は、神社などのことではなく、神前の庭に居た動物たちの洒落話。雀がチチ(父)と鳴き、烏がコカア(子か)と鳴いたので親子だ、とか。
辰が「立つ」、犬が「去ぬ」、猿が「去る」、蛙が「帰る」だというつまらん駄洒落に、主は機嫌を直す。どこが面白いんじゃ。で、くちなわ(蛇ですね)はどうだと、答えに窮す太郎冠者。駄洒落が思いつかない。最後は怒られてお終い。
『海人』は昨年3月に喜多能楽堂で観た。今回も喜多流だけど、シテが人間国宝友枝昭世。1940年生まれ。80歳。
藤原房前の子方は、12歳。何歳まで子方でできるのだろうか。声変わりするまでかな。大きな声で立派に謡っていました。誰それさんの長男だと。そのままシテ方に成長していくのか。
物語は、子方藤原房前の出生の秘密。藤原不比等(淡海公)の4男。唐の宝珠を海に落としたのを、不比等と関係を持った海人女が、命と引き換えに水中の面向不背の珠を取る。乳の下を切って珠を隠す。
その有様を舞う「玉之段」。喜多流の舞いも悪くない。ちょっと違和感はあるけど。それに勝る人間国宝友枝昭世。しっかりと、立ち、運び、腕も震えず、大きく舞う。感動的な、優美な舞い。
アイは、これも人間国宝野村萬。90歳。しっかりしている。
後場も、「早舞」が素敵。冠と、面は「増」だった。「泥眼」を期待したのだけど。さっと終わって、呆然とする中を退場。
良い感じ。
喜多流の人間国宝友枝昭世は、良いんじゃないのかな。