1月8日(水) 横浜にぎわい座

前座 立川志らぴー 『饅頭怖い』

『道灌』

『疝気の虫』

(休憩)

『双蝶々』

 

新春お笑い第2弾も立川流。にぎわい座では今年初めての独演会か。

今回は、志らくの思い出が統一テーマというが、大したことではない。

 

前座。ダメだね。ただしゃべっているだけ。

 

『道灌』これが前座話の真打ちバージョン。「七重八重 花は咲けども 山吹の みの(実の、蓑)一つだになきぞ 悲しき」という古歌に重ねた部分に至るまでの、八五郎と隠居の遣り取りをどこまでやるかで、時間と、面白さが違う。前にどこかで前座で聞いたけど、きっと寝たが、さすが志らく、真打ちの芸でした。たっぷり30分。

 

『疝気の虫』。熊も、与太も、隠居も、若旦那も出てこない、妙な噺。こういうハチャメチャ落語はどうして作られたのか。まあ、面白いから良いけど。「地獄八景亡者戯」も、まったく空想の身体の中のお話だけど、江戸落語でもこういうのあるんだよね。

疝気を起こすという虫が、そばの匂いに釣られて主人のお腹から妻のお腹に移って、避難する別荘がないと大騒ぎする馬鹿っぱなし。志らくは、虫の物真似が上手。

 

『双蝶々』初めて聴く人情噺。3大人情噺らしいが、『芝浜』も『文七元結』も泣かせる人情噺だが、これは登場人物が悪人ばかりで、ほろっとさせられるところはないというモノ。作者の三遊亭圓朝は、確かに落語家ではあったが、戯作者でもあったのだろう。

今でも、毎年1回圓朝祭が催されて、圓朝ゆかりの話がそれなりの噺家によって幾つか話される。7日に「ごっつあん」に寄った時に、大森さんから圓朝祭の団扇を貰ってきた。それによると、第2回圓朝祭は、昭和33年8月30日で、5代目柳家小さんが『かぼちゃ屋』、3代目三遊亭小圓朝『夏どろ」、3代目桂三木助『蛇含走』、8代目林家正蔵『真景累ヶ淵』、6代目三遊亭圓生『怪談乳房榎』、8代目桂文楽『船徳』、5代目古今亭志ん生『業平文治』とある。

去年も、7月に、演題はわからないけど、音助、三三、円楽、たい平、鶴二、権太楼の出演だったらしい。ちょっと、今年辺り行きたいけど、遠いんだよね。

で、その何回目かの圓朝祭で、志らくが、『双蝶々』をやったらしい。当時は立川流は、落語協会から飛び出していて、楽屋は針のむしろだったらしいが、まあやった。後で、批評家が、『双蝶々』はちゃんとやるモノで、変化球を入れて笑わせてはいけない、と言ったそうだ。それを聴いた談志は、怒ったとか。

で、今回は、長七が吾妻橋で追っ手に両方から追われるシーンから。どうしてかなと思っていたら、最後に又そのシーンに戻って、一巡り。そのころ父親が窓を開けると、季節外れの蝶蝶が二羽ひらひらと、という落ち。因果応報という訳か。ホントは長い噺だけど、こういう組立をして、志らくは45分くらいたっぷりと。

ただ、僕としても、笑いを取るのではなくして、じっくり恐ろしい、因果応報の噺を、ゆっくり聴いてみたい。