12月28日(土) アルテリオシネマ川崎
監督:タル・ベーラ
なんという映画だ。公式上映時間7時間18分。12時40分開演で、終了が20時40分。途中休憩2回。
一人の男・イルミナーシの帰還と演説によって、崩壊していく村と村人の心。
いや、村人の心はもう崩壊している。冬の前の長い雨。降り止まない。ぬかるんだ大地。仕事のない村人達の怠惰な生活。他の村人の観察。酒。女(男)。蜘蛛。蜘蛛の糸。
上映時間の長さで有名らしい。ウトウトはしたこともあったけど、眠りはしなかった。アルテリオシネマが満席。
皆さん、きちんと観ていたと思うよ。
一体何を言いたい映画か。イルミナーシって結局何者か。どうやら警察の犬のような。でも、なんのために村を崩壊させるか。1994年作。ハンガリー。社会主義から解放されて間もなく。だが、村人達は、誰かが、権力がちゃんと、何かをしてくれるだろうと思い込んでいて、積極的に動くことはしない。泥棒だけはする。仲間を裏切ろうとするけど、結局裏切れない。精神的な崩壊。徹底した依存主義。だから怠惰。がんじがらめの蜘蛛の糸。ほどこうとしない。絡め取られていることも気づかない。
それを解放するために来たというイルミナーシ。でも、警察の犬。そうか、警察も昔の秘密警察の名残、意味のなくなった住民監視を怠惰に続けているだけなのか。住民の思想(なんて高等レベルではないけど)や行動を監視して、ファイルしていく。そして、一日が終わって、帰って行く。今日もいつも通りさ。
ハンガリー。マジャール。トルコ軍が来たと叫び続ける教会の跡守。
荒廃した大地。アルカリ性土壌。
文化、と言うかなんと言うかに、共通性、理解ができないから、映画も理解できないだろう。
サタンタンゴとは何か。映画の中で訳文が一度だけ出てきた。悪魔のタンゴ。悪魔のおっぱい。タンゴを延々と踊るシーンがある。タンゴといっても南米の陽気なモノではなく、同じリズムの延々とした繰り返し。それに合わせて延々と踊る、と言うか身体を動かしている村人の男女。おっぱいの巨大な女房にしつこく絡む。タンゴとおっぱいは共通か。
知り合いの女房とセックス。村人にバレバレ。公言すらする。売春宿もあるんだ。客は、知り合いばかり。
マジャール人。
もう1回観れば、もう少し理解できるか。でも、また8時間映画館に居ることに耐えられるか。
いかに、高等遊民とはいっても。