12月25日(水) 国立能楽堂

復曲狂言 『蜂』 (和泉流 野村又三郎家)

   シテ(喜楽斉)野村又三郎

復曲能 『吉野琴』 (観世流 銕仙会)

   シテ(里の女 天女)片山九郎右衛門 ツレ(里の女)味方玄 ワキ(紀貫之)宝生欣哉 ワキツレ(従者)大日方寛

   アイ(山神)山本凜太郎

   笛:竹市学 小鼓:林吉兵衛 大鼓:國川純 太鼓:前川光範 地頭:浦田安親

   面:シテ「節木増」(満茂・作) ツレ「小面」(大和・作)

 

年内、最後の能会になってしまった。今年は69番59曲だ。凄いな。月平均5.75番。勿論1回の能会でお能が2番3番ある事もあるので、月約5回くらいは能会に行っているのではなかろうか。全部ブログに書いてあるので、数えれば正確にわかる。それにしても、観まくった感じ。手当たり次第。気づいて、日程があえば行ったもんなあ。

 

今回の国立は、「復曲再演の会」と名打って、珍しい狂言と能。

復曲狂言『蜂』は、勿論初めてで、独り狂言。独りは、独り松茸ともう一曲あったかな。名古屋の野村又三郎は、二度目だが、同人に人数が居ないので、独り狂言でピタリか。

桜の季節に清水辺りの野に独りで出て遊ぶシテ喜楽斉。周りの人に酒を振る舞ったり、謡、舞などして遊ぶ。その有様は、まあ、ちゃんと謡えていたし、舞えていた。又三郎家も、又三郎ならばそれなりの芸ができる。

その内、寝込むと、どこかからか蜂が飛んできて、刺される、というお話。大きな巣が木の上に見えたようだから、スズメバチか。後見がブーンブーンと声を出す。又三郎が自分で出しているかと思いきや、後見だ。珍しい。後見が声を出すとは、誰だろう。名前の紹介なし。

 

復曲能『吉野琴』、これも勿論初めて。まず、ツレ里女、シテ里女の順で登場。その段階では、どちらがシテかツレかわからない。前を歩く女が琴を持ち、中啓を胸に挟み、後の女が中啓を持つ。詞章をじっくり聞いていたらば、前がツレで、後を出てくるのがシテだった。

物語は、ワキ紀貫之が花見に吉野山に行く。そこで二人の里女に会う。浄見原天皇(天武天皇)が吉野で遊んだ時の故事を語り、舞い、後場で後シテ天女が現れて優雅な舞を見せるというモノ。天武天皇も、お能で時々登場するよね。

前場のシテの舞(序ノ舞というのかしら)、後場の天女の舞が美しい。しっかり待っている、大きくて良い感じ。

アイ山神の山本凜太郎君。しっかりできていました。山本東次郎の次次代後継者としての芸を身につけてきている。

京都の片山九郎右衛門。調べたら、銕仙会。だから、後見に観世銕之丞。観世の京の重鎮になって来ている。まだ50代だが。ものすごく印象的に過ぎないけど、東の観世喜正(九皐会)、西の片山九郎右衛門(銕仙会)、そしてどっしり中核に梅若紀彰(梅若)。此の3人だな。観世が良いし、観世の中でも抜群の3人。京都に行く時には、片山九郎右衛門シテ出演の能の会にしよう。

 

高等遊民、此の一年間の能鑑賞経験によって、また、梅若紀彰師の謡仕舞のお稽古によって、相当良い線にいっている感じ。