12月13日(金) 横浜にぎわい座
『この一年を振り返って』
ゲスト 立花家橘之助 『浮世節』
(仲入)
『芝浜』
年末の平日の昼間。関内ホールとは違って、にぎわい座はそれなりの熱気。どうして円楽は登場の時に声をかける女性が多いのだろうか。前に座っていた高校生女子は、「格好いい」なんて声をかける。落語ファンとは違う層か。
前座無しで始まるのは良い。ただ、円楽のおしゃべりだが、このところ肺がんだの脳腫瘍だのと、結構な病気をしたせいか、若干気弱なところもあって、休んで、戻ってきて、こうして話せる場があるというのがうれしい、と、声を詰ませる。涙も流す。もう70だ、といっていたが、まだ70ということもあるし、気の持ちようか、どうか。しかし、先が「無い」ことを実感するという気持ちは良くわかる。同年齢として、共感する。
ゲストの立花家橘之助は、もと小円歌と言ったらしく、あの「山のアナアナ」の円歌の弟子だそう。結構な年齢だとは思うけど、美人で、三味線は上手で、高座に上がっているより、芸者としてお座敷に出た方が、ナンボ稼げるか、という感じで、三味線の小唄や浮世節が、良い調子。ホントに座敷で聴きたいね。
こういう色物は、良い感じ。
待ってましたの『芝浜』。直球、ど真ん中の噺だった。円楽熱演で、客席もシーンと聞き入る。1時間ちょっと、端折ることなく、変化球も入れずに、ど根性勝負。ストレート勝負。三振。勿論人情噺だから、じっくりと。客もそれを受け入れる。
こういう規模の会場だからできる、独演会だからできるんだね。
思わず、終わった後に、幕が下りる時に、「名人!」と声をかけてしまった。これはこっちも無意識。そういうこともあるんだ。クラシックのブラボーに該当するが、クラシックは何度も挨拶するし、アンコールもあるし。
でも、良い落語でも、スパッと下げるから、それはそれで良くて、つい「名人!」などと。
高等遊民、こんな掛け声は初めて。素晴らしい、落語会、高座でした。満足。