11月24日(日) 横浜能楽堂

お話 安藤貴康

狂言 『因幡堂』 (大蔵流 茂山千五郎家)

   シテ(男)茂山七五三 アド(女房)茂山逸平

(休憩)

能 『三輪』 (観世流 銕仙会)

   シテ(里女 三輪明神)観世銕之丞 ワキ(玄賓僧都)森常好 アイ(茂山逸平)

   笛:一噌隆之 小鼓:観世新九郎 大鼓:柿原弘和 太鼓:小寺眞佐人 地頭:浅井文義

   面:前シテ「深井」(伝 是閑作) 後シテ「小面」(伝 若狭守作)

 

4日連続の能会。さすがに疲れる。昨日までとはうって違って、暑いくらい。

 

お話は、シテ方のお話で、『三輪』の解説をするが良くわからない。杉玉が舞台に出てくる。それを毎回作っていると。

 

狂言『因幡堂』初めて。お話は、大酒飲みな妻に離縁状を出して、新たな出会いを求めて因幡堂に行くが、そこに怒ったワワシイ妻が来る、西門で出会うという嘘のお告げを継げて、自分が被きモノを被って出てくる。固めのお酒を飲ませるが、いかにも大量に飲む、それでも被きモノを取らせてみれば、あれや、妻ではないか。ひたすら謝る。

被きモノを取らせて、妻とわかった時に、足が震えるシテ男茂山七五三の仕草が秀逸。

番組発表当時は、このお役は茂山千作だった。アドが七五三の予定だったのが、玉突きで逸平に交代。でもしっかりやっていました。最近逸平の出が多いような。逸平は、最近「茂山逸平 風姿花伝 ぺぺの狂言はじめの一歩」を出版している。

でも、ありふれたお話だし、疲れもあって、ちょっと寝てしまった。

 

能『三輪』も初めて。三輪山は、山自体がご神体で、それにまつわって、神代のお話。間狂言の言葉を聞いてみると、男神と女神との性交渉がおおらかに語られる。いざなみの命、いざなぎの命、天照大神の岩戸隠れも、それに関係するらしい。日本書紀も読まねばならぬのか。

前場は、まあまあいつものパターン。「深井」という面は、なかなか趣がある。やや歳を経た女の、色気というか考えが現れるようで、ただ、若い女ではなく、また、「泥眼」のように狂っても居ない。

仲入で、前シテが、舞台上の作り物の中に入る。退場しないのだ。その中で面の交換やら着物の着替え。出てきた三輪明神は、美しい緋色の大口、長絹を着て、烏帽子、面は、小面になったが、対訳本によると「増」などと記載されている。さすが銕仙会のトップ、いい面を出してくる。

ここで舞われる「神楽」が素晴らしい。さすが観世銕之丞。久しぶりに、舞を観て感動してしまって、涙が。やはり上手を観た方が良い。これは、良くある型がでるけど、とても素人ができる程度ではない。だけど、我が梅若紀彰師の「神楽」も観てみたいと、心から思った。もっと大きく、はっきり、感動的に舞えるのでは。

最後の、序破急の止めで、ピタッと決まった。こう決まると、観客も役者も皆さん、とても気持ちが良いのではなかろうか。

銕仙会は、前日もお能を演じているが、今日の方が良かった。

 

四日連続だと、お能の受け止めの違いが実感できる。素晴らしい舞台と、そうでもない舞台とあるのではないか。