11月10日(日) 横浜能楽堂
大蔵流 茂山千五郎家
お話 茂山千三郎
狂言 『二千石』
シテ(主人)茂山逸平 アド(太郎冠者)鈴木実
(休憩)
狂言 『素袍落』
シテ(太郎冠者)茂山七五三 アド(主人)鈴木実 アド(伯父)茂山千三郎
毎月のこの企画は楽しみ。今回は、残酷なシネマ歌舞伎『女殺油地獄』の後で、気分転換もあるが、ややお疲れ。
お話は面白かった。演題の話しだけではなくて、狂言方の型や足運び、構えも。お能とは違うのだけど、ほぼ似ている。
茂山千作の四十九日法要が終わったばかりだと。
『二千石』初めて。じせんせき、と読む。あのひょうきんな、茂山逸平が、大声を張り上げて太郎冠者を叱る。結構、怖いのだ。太刀を左手に構えて登場して、始めから、アド太郎冠者を打擲どころではない、切って捨てようという様子。
だが、シテ主人は、気分屋なのだ。無断で京見物に出かけたと聞くと、教えて欲しいからと許す。が、勝手にお家重大の謡を流行っていたと言って謡うと、またみだりに謡ったとまた怒って、太刀を抜き、構える。
その構えは、確かに美しい。それをみてアド太郎冠者が、先代の形に似ているというと感激し、許すだけではなく、一緒に泣き出す。あれも似ていると言われると、また一緒に亡く。最後に、うれしくて、一緒に笑う。その泣きの型、笑いの型が、あの狂言の型で、型のお勉強という趣向。
怒りと泣き笑いの落差がきちんとできていて、逸平、よろしい。
『素袍落』、何回目かしら。何度観ても面白いし。要するに、酔っ払いの様を笑う物語だ。どうやって、酔っ払いを演ずるか。今回は茂山七五三がシテ太郎冠者。
茂山千作、七五三、千三郎は多分兄弟。千作の追悼的な面もあったのか、じっくりと。初めのお話の中で、七五三の〆で、等としゃれて解説していた。
茂山千作がもう観られないと思うと、ちょっと淋しい。確か、75歳で亡くなった。