10月25日(金) 鎌倉能楽堂
解説 「能の神・鬼とは」 中森貫太
狂言 『鬼継子』 (大藏流 山本東次郎家)
シテ(鬼)山本泰太郎 アド(女)山本凜太郎
能 『飛雲』 (観世流)
シテ(尉 鬼神)中森貫太 ワキ(山伏)則久英志 ワキツレ(共山伏)大日方寛 アイ(末社)山本凜太郎
大鼓:柿原弘和 小鼓:鳥山直也 太鼓:林雄一 笛:栗林祐輔 地頭:奥川恒治
面:前シテー三光尉 後シテー雷?
台風の大風、大雨で開催が危ぶまれたが、開催。空いていて、半分以下か。今回は、正面最前列。この列には一人だけ。ちょっと厳しいけど、まあ良いのじゃ。
解説は、面の話し、と神と鬼の同一性、など。面白かった。
『鬼継子』初めて。子連れのアド女凜太郎君が登場して、暗い道を通っていると、鬼が出てきて、喰うという。子だけは助けて、ならば美人だから俺の妻になれ、で、鬼が子をあやすと可愛いが、やぱり喰うと。女が取り上げて逃げるというお話し。
なんと言うことはないが、シテ鬼が面を付けて、色々子をあやすところが面白い。
凜太郎君の成長ぶり。泰太郎は、顔はみえずだが、さすがの演技。近くで見ると、足の動きや手の動きが、きちんとしているのがよく見える。泰太郎さん、翌日も横浜能楽堂。
『飛雲』は珍しい曲らしい。上演例が少ない。
ストーリーは、熊野の山伏が、羽黒山に向かう途中の木曽で、一人の樵と会って、色々紅葉の名所の話しなどするが、実は鬼で、そのことを熊野の末社アイがわざわざ注意しに来る、後は、現れた鬼神と山伏の戦いシーンで、いつもの祈りの戦いで、鬼神が去って行く。まあ、わかりやすい、秋の紅葉シーズンで、その名所の観光案内と、熊野の宣伝。
プログラムではアイ末社が山本泰太郎だけど、声からして絶対凜太郎君。突然の配役変更でも、きちんと、絶句することなく、正しく、アイの語り。
ワキ山伏の則久英志は、初めてまみえるかも知れないが、声が大きくて迫力があって、はっきり聞き取れて、とりわけ今回は真っ正面なので、、感心した。注目のワキ方だ。
ここにも、在原業平がちょこっと出てくる。「千早振る 神代も聞かず 龍田川 からくれないに 水くくるとは」と、紅葉の名所で。紀貫之も。
山伏の調伏のセリフは、彼方此方で聞いたような。回数を重ねると、聞けなかった詞章が聞けたりする。ストーリーも想像が付いて。
短い能の曲であったので、質疑応答も含めて、4時には終了し、帰りは雨も上がって。
能は、やや物足りない感はあったが、わかりやすい能で、入門編。