10月20日(日) 国立能楽堂
狂言組 (大藏流)
『無布施経』 シテ(出家)大藏彌太郎 アド(檀家)茂山忠三郎
(休憩)
『靭猿』 シテ(大名)茂山忠三郎 アド(太郎冠者)岡村宏懇 アド(猿曳き)大藏吉次郎 アド(猿)茂山良倫
茂山忠三郎は、京都で主として活動、更に茂山逸平などからは真面目にやりたければ忠三郎、などと言う戯れ言を聞いていたので、珍しくも東京で公演なので、出かけた。発足40周年記念と言うことらしく、福岡、東京、京都、大阪の4公演。
その内、東京の『靭猿』が令和元年文化庁芸術祭参加公演になっている。
『無布施経』は、3回目。今年の1月に久良岐能舞台で、8月に横浜能楽堂で、いずれも山本東次郎(大藏流)の出家で。
今回は、きちんと、一言一言、言葉が聞き取れた。教化する場面の話し内容は、前2回は意味が良くわからなかったが、今回はきちんと聞き取れた。ああ、ああいうことを説教しているのね。その中で、度々「ふ・・せ」と言ったりするのも聞き取れた。
シテ出家大藏彌太郎は、大藏流流宗家大藏彌右衛門の長男。但し、布施をお願いしたくて、何度か逡巡する様子、袈裟を隠していたのを発見されて、「面目ない」と引き下がる場面は東次郎さんの悲しさ、恥ずかしさが勝る。
『靭猿』、まさしくこれを観に来たのです。待ってました、という掛け声をかけたくなるほど。今回の小猿役は茂山良倫くんで、シテ大名茂山忠三郎の長男。5歳だって。同年齢の孫を持つ私としては、小猿が登場するだけで、もはやウルウル。
可愛いんだもん。しかも、ストーリーを知っているから、可愛そうだし、可愛いし、もう、ダメ状態。
前回観たのは、4月に、大名野村萬斎、猿曳き野村万作、猿は萬斎の姪の三藤なつ葉ちゃんだった。その時は、万作爺さんが孫の小猿に、慈しみと共に、しっかりやれという雰囲気が感じられて、これもウルウル。
今回は、親が大名役。だが、4公演中2公演では、忠三郎が猿曳きをやるらしい。どっちも観たいけど、無理。
小猿は、大変な役だよね。ずっと動いていたければならないし。猿曳きヒモが足に絡んでしまって、一生懸命はずそうとしている仕草も可愛い。率直だからね。大名と並んで、足を踏んで舞うシーンでは、大名とタイミングが合わなかった。野村萬斎の時は、タイミングが合っていたけど、合わなくても小猿なのだから、良いんです。可愛いんです。
爺としては、あんな孫が・・と、ずっとウルウル。泣く狂言って、ありか。あるんです。
舞台がはねてから、出口付近で、良倫ちゃんの弟・妹と思われる2人が、ちっこいのに、ありがとうございましたって。おお、この2人でまだ靭猿を観られるぞ。