10月19日(土) 代々木能舞台
仕舞 『淡路』浅見慈一
『山姥』小早川泰輝
能 『松風』
シテ(松風亡霊)小早川修 ツレ(村雨亡霊)小早川康充 ワキ(旅僧)殿田謙吉 アイ(須磨の裏の住人)野村隆行
笛:槻宅聡 小鼓:曽和正博 大鼓:柿原弘和 地頭:浅見真州
面:シテとツレとも、紹介無しだが、多分、小面
1時間半も前に着いてしまって、立って並ぶ。自由席だから。先着は一人。超常連さんのお婆さん。舞も習っているらしく、手を動かしている。
入場して、正面席の2列目、座椅子がある列の最前列、階のやや右。座る形式も、楽と言えば楽。
仕舞の2曲。いずれも、上手なシテ方で、観ていて、気持ちが良い。
『松風』は初めて。シテとツレが、多分親子。ツレの声が若々しくて、聞きやすい。舞もしっかり。
ストーリーは、在原行平が3年ほど須磨に居た頃に関係した女性が懐かしむ。世阿弥作だと。在原行平は、在原業平の兄、行平の中納言とも呼ばれる。まあ兄弟して和歌の名人で、モテるのだなあ。当時は、貴族が須磨の浦などに赴任すると、必ず、現地調達するんだ。しかも、姉妹2人。良い身分だ。
「立ち別れ 稲葉の山の 峯に生える(おふる) 松とし聞かば 今帰り来ん」と言う歌。
例の如く、旅僧が須磨を訪ねると2人の女子の汐汲みが現れる。曰くありげな松が生えている。いわれを話すうちに実は・・となる。昔話の途中で、後見がシテに立烏帽子と狩衣を渡す。それを、後見座でもなく、舞台正面奥で物着。こんな場所で着替えるのは初めて。後見2人が前と後ろから手早く物着。
後半は、着替えたシテの中之舞、破之舞。いずれもテンポ良く、お能の舞らしい舞。前日の『咸陽宮』が、舞無しだったから、やはりこれが正しいお能だよね、と。
秋は、月なのだ。
代々木能舞台は、外気が感じられて、そこでの、座椅子に座って、テンポの良い、上手な舞を観ていると、幸せだなあ、能鑑賞は止められないぜ、という感じ。