10月2日(水) 国立能楽堂

狂言 『腹不立』(大蔵流)

   シテ(旅僧)大藏彌右衛門 アド(施主)大藏彌太郎 アド(大藏基誠)

(休憩)

能 『国栖』白頭(観世流)

   シテ(前:老人 後:蔵王権現)片山九郎右衛門 前ツレ(姥)片山伸吾 後ツレ(天女)味方玄 

   ワキ(臣下)福王和幸 アイ(追手)村瀬堤、村瀬慧

   笛:竹市学 小鼓:吉阪一郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:加藤広輝 地頭:観世喜正

   面:前シテ「三光尉」 後シテ「蔵王」 前ツレ「姥」(是閑・作) 後ツレ「小面」(古元休・作)

 

10月に入って、初めてのお能。今月は数えたら8回も能の会に行くのだ。行き過ぎ。でも、次々と予約してしまう悪い癖。だって、観たいんだもん。時間はあるんだもん。

 

購入した国立能楽堂のパンフレットの10月版。冒頭に随筆が毎号ある。今号は、筆者が梅若実玄祥先生に会った時の話しから始まる。

能楽修行の課程で、器用だと飲み込みが早くて一通りのことはすぐにできてしまうから、そこそこで終わってしまう、と。父(五十五世梅若六郎)は才能があるのに自分は不器用と思い込んでいたから、奥深い境地に達した、と。

父の教えは、玄人に対しては一から詳しく教えない、一般の素人弟子には細かく、丁寧に教える。お前らには言わないことも言うかも知れないからよく見ておけと言われ、素人弟子への乱拍子の稽古を食い入るように見つめたもんだ。型付けを見ただけでは心持ちまでわからない。実際に教えているところを見るのが一番だ、と。

 

狂言『腹不立』。初めてだな。大藏流宗家も初めてかな。大藏基誠は、宗家彌右衛門の次男。いつか、面白くない映画に出ていた。5月に「よあけの焚き火」。彌太郎が長男。宗家を継ぐのは、長男か次男か。長男は、ちょんまげの変なヘアスタイル。

ストーリーは、新しく寄進したお堂に住職がいないから探していると、見つけた住持が自らを「腹たてずの正直坊」と名乗るので、施主たちがからかう、というお話し。最終的にどうなったかは、寝てしまって、観ていない。また、眠くなった。

 

能『国栖』も初めて。”くず”と読む。壬申の乱を題材に。天智天皇の死後、皇太子であった大海人皇子(浄見原天皇)は吉野山に籠もるが、反撃して、大友皇子を破って、後の天武天皇になるという話しの中の、吉野山に籠もった時のこと。

逃げてきた皇子を、土地の老人夫婦(前シテ、前ツレ)がもてなして、芹と鮎(国栖とは鮎のこと)の食事を献上する。そのうち鮎を下賜されたので川に放つと生き返るのが吉兆だと。

この辺、眠ってしまっていて、良くわからん。

後場で、後ツレ天女の舞が素晴らしく優雅。ツレが、前と後で別能楽師。引き続く後シテ蔵王権現の神の舞は、テンポも良く、勇壮で、迫力あり。

この舞が楽しい能の曲。

 

今回の収穫は、パンフのエッセイ。このパンフは、毎回優れもので、その月の公演曲のあらすじや、鑑賞の手引きが充実している。詞章も書いてある。通うようになってからのはパンフは、保管。