2019年6月22日発行 著者:野村万作 発行:朝日出版社
狂言方(和泉流)人間国宝・野村万作(1931年6月22日生まれ)が、米寿の節目に出版した本。
まあ、能楽の至宝が、集大成としてまとめる著作。なのだが、勿論単なる経歴話、自慢話では無い。
値段が高いので、図書館に依頼して購入して貰った。(読書後の感想として、買っておいても良かったなと。)
章立て順に紹介すると
第一章 狂言の家
これは、思い出話。でも、至言が盛り込まれる。
第二章 狂言修行の芸話
いくつかの曲を題材にして、修行に懸かる歴史
#猿に始まり狐に終わる
#老人曲・一子相伝・風流
第三章 万作狂言名作選
「万作・狂言十八選」という企画公演をはじめとして、各地で演じた名曲十八曲。得意な十八番では無く、万作の選んだ十八曲で、これを題材として万作の気持ちを語る。
選ばれた十八曲は
・末広かり
・萩大名
・節分
・見物左衛門(深草祭・花見)
・金岡
・船渡聟
・川上
・月見座頭
・宗論
・牛盗人
・武悪
・連歌盗人・蜘盗人
・木六駄
ここで比較したいのは、現在横浜能楽堂で進行中の「東次郎家伝十二番」。同じく狂言方(大蔵流)の人間国宝山本東次郎が選んだ渾身の十二番。現時点で六番が終了している。このブログでも随時載せている。被っている曲もある(月見座頭)が、ほとんどが異なるモノの、狂言というモノの考え方は共通するモノがあるように思う。能と狂言、謡と舞。
第四章 新しい試み
新作狂言や、狂言手法を取り入れつつ試みた劇など。伝統を守りつつ、現代の狂言劇を作り上げる。
第五章 狂言の種々相
狂言の中でも、シテばかりでは無く、様々な役割があり、それも重い意味がある。能と狂言、謡と舞。
第六章 海外公演と現在
万作の国際的活動。
第七章 心に残る人々
様々な諸先輩などから得たモノ、伝えるべきモノ。
第八章 狂言の未来へ
後輩たちへの助言というか、伝えるべきモノ、失ってはならないモノ。息子の萬斎へ。
長くなったので、至言編に続く。