9月18日(水) MOVIX橋本
監督:蜷川実花
太宰治(津島修治):小栗旬
津島美知子:宮沢リえ
太田静子:沢尻エリカ
山崎富栄:二階堂ふみ
高校から大学時代、間違いなく太宰フリークでした。あの、句読点を多用する文体をまねて駄文を綴り、太宰も共産党の活動家で挫折したんだ、頭でっかち左翼は同じだなどと。
だから、この映画が発表された時、あのときの感覚が映画に出来るのかと思って、観るつもりもなかったが、監督があの蜷川幸雄の娘であることを知り、若干の興味を持ち、副題にも3人の女たちとの関わりが主とした映画だろうと思って、出かけた。
結論としては、さすが蜷川実花の映像は美しいものの、太宰をあそこまで酷く描かなくても良いのに。
女と自殺未遂をしては小説の材料にしているとか、言われるままに自殺しちゃってとか。
太宰の苦悩っていうのかしら、苦悩の中の生への喜びというのかしら、でも自信のなさから来ると思う自殺とか、結局生きろというメッセージだったり、そういう青春時代に感じたモノが無視されて、貶められて。
太宰の自殺(未遂)は、小説家になる前に2回あるし、3回目は気の弱さ(と裏返しの自信)からだし、昭和12年の4回目は初婚相手の不貞行為(勿論自分のことは棚に上げるが)。戦後昭和23年に5回目に成功。この当時は相当身体も弱っていたし、『人間失格』を脱稿した直後。
でもでも、こんなのは、青春時代にフリークだったモノの感傷にすぎないか。齢65を越えて、新たな太宰治像がでて来るのかしら。
もう一度読み返すのが、青春の心を破壊してしまうのか、ちょっと怖い。
高等遊民。どうする、どうする。少なくとも、太宰治は高等遊民ではない。