9月8日(日) 横浜能楽堂
狂言組(大倉流 茂山千五郎家)
お話し 茂山宗彦
『右近左近』
シテ(男・右近)茂山千五郎 アド(女房)島田洋海
(休憩)
『萩大名』
シテ(大名)茂山千三郎 アド(太郎冠者)茂山宗彦 アド(庭の亭主)島田洋海
9月2日、しんぶん赤旗の月曜インタビューに、茂山逸平が大きく取り上げられていた。「茂山逸平 風姿和伝 ぺぺの狂言はじめの一歩』という本を出版したらしい。それに伴うインタビュー。どうして共産党の機関誌に、と。
『右近左近』、うこさこ、と読むらしい。和泉流では、うちわ喧嘩だったかな。初めて見るが、まあ、面白い曲。単純には夫婦喧嘩。強いのはいつも妻、女。ワワシイ女。可愛そうなのは、空威張りするしか無い夫、男。しかも、妻は左近と関係があるらしい。台詞では、夫婦だものなあ、と。そしてむなしく笑って、泣き顔で引っ込む。
『萩大名』は、ちょうど1週間前、野村万作で観ていたから、どうしても比較。コメディーとしては茂山家、芸術としては野村万作家に軍配が上がる。どちらが良いというのではない。芸風の違いだろう。
前記のインタビューで、茂山家の家訓に「お豆腐狂言」があるらしい。聞いたことはあるが、どういう意味か知らんと思っていたが、明治維新や戦争を通じて、格式高い能楽の中で、京都の地域行事や宴会、結婚式など呼ばれれば何処にでも出向いたという。それを批判して、何処の家の食卓にも上がる豆腐のような狂言、と言った人がいたらしいが、逆手にとって「お豆腐狂言で良い」となったそう。なるほど。
やはり、家の芸風の違いだ。さぞかし仲が悪いのかなと思ったが、茂山逸平は、東京の野村万蔵・万作兄弟には感謝しているらしい。