9月6日(金) 横浜にぎわい座
桂米輝 『ちはやふる』
桂米團治 『京の茶漬け』
桂ひろば 『笠碁』
桂米團治 『蛸芝居』
(仲入)
桂米團治 『質屋蔵』
ちゃんと上方落語を聞いたことがない。米團治は、確か、NHKの落語ディーパーで『地獄八景』をやっていて、やはり枝雀とは違うなあ、と。
考えてみれば、まだ事務所を運営して仕事をしていた頃、事務所で、暇つぶしに、ユーチューブの落語を沢山聴いていた。落語ライブに出かける前のこと。その頃聴いていたのが、古今亭志ん朝と桂枝雀。上手いなあと思ったね。大笑い。でもこれがなんとなく標準的な落語家の話芸と思ってしまって、他の落語家に悪いことをしたかも知れない。枝雀が自殺してからもう20年経つらしい。志ん朝が死んだのはいつか。
今回も、話としては『地獄八景』を聴きたかったというのが動機の一つ。枝雀しか出来ないか、という諦めもあるけど。
米輝は、前座かな。上方にはそういうシステムは無いのかな。前座にしては上手。もうかなりの経験者。『ちはやふる』は、江戸落語でも同じで、ストーリーの基本は変わらないけど、ちょこっと違う。でも、面白い。
米團治が早くも登場。『京の茶漬け』。帰り際に、ぶぶでもどうですか、と聞く京の風習をからかったお話しだが、関西における、京、大坂、神戸の関係と、関東における東京、横浜、鎌倉を比べて、解りやすく、話す。関西人自体が、京と大阪の違いを笑いの種にするのだから面白い。
桂ひろば。この人も経験ありだな。『笠碁』のお話しは、江戸でもあるし、大筋は変わらない。が、見台と拍子を使うのが面白い。場面転換の時など拍子が入ると、場面展開と解る。時空を移動する。
また、米團治。『蛸芝居』。歌舞伎(芝居)好きの商家の噺。米團治は、芝居も上手く演ずる。上方落語は、囃子が入ったりして、決められたお噺になるのだろうけど、膝立ちしたり、座布団上で立ち回りしたり、身体的な演技が一杯出てくる。蛸風の顔つきとか。小さんよりオーバーに。これも面白いけど、芝居の風を装う顔つきやら動作、しっかり勉強しているんだなあ。江戸落語では、小唄や都々逸などを繰り込みのと同じか。
仲入後も米團治。『質屋蔵』。米團治だけで3席で、他が2席。楽しませてやろうという根性がうれしい。力一杯演ずる。関西風のおとぼけが満載で、大笑いできる。嫌いな吉本風で無いところが素晴らしい。質屋の3番蔵に幽霊が出るから見張るお話しだが、落ちが、「質入れ掛け軸から菅原道真の幽霊?が出てきて、また流されるかと思った」だって。面白いジャンね。
上方落語って、内容は江戸と同じようなものだけど、まったく違うのもあるけど、そもそも別のジャンルのような気がしてきた。今回の噺は、江戸落語にもあるけど、やはり江戸には無い旅ものとか、地獄八景とか、ちゃんとした上方を聞きたいなあ。
思わず、来月の桂雀々を買ってしまった。枝雀の後継者かと。期待するとマズイかな。
高等遊民。」能を観ると能の頭に、落語を聴くと落語の頭に。帰りに電車内で観世寿夫の本を読んで、また世阿弥に。忙しいのだ。