8月25日(日) 京都観世会館
『兼平』 当然に観世流
シテ(尉 今井兼平)片山伸吾 ワキ(旅僧)福王知登 アイ(粟津の浦船頭)小笠原弘晃
大鼓・谷口正壽 小鼓・成田達志 笛・杉信太郎
面:尉と中将か
狂言『蝸牛』(和泉流野村萬家)
シテ(山伏)小笠原匡 アド(主人)山本豪一 アド(太郎冠者)小笠原弘晃
(休憩)
『定家』 観世流だけど、梅若?
シテ(里女 式子内親王)片山九郎右衛門 ワキ(旅僧)福王茂十郎 アイ(千本辺りの者)小笠原匡
大鼓・河村大 小鼓・大倉源次郎 笛・杉市和
面:前シテは若女か、後シテは泥眼?
(休憩)
仕舞 法下僧、江口、籠太鼓、融
『善界』
シテ(善界坊 天狗)大江広祐 ワキ(比叡山ノ僧)岡充 アイ(能力)泉愼也
太鼓・石井保彦 大鼓・井上啓介 小鼓・林大輝 笛・竹市学
面:前シテは直面 後シテは大べし見か。
附き祝言 『高砂』キリ
事前申込みして、10時に会館に到着すると、そこで席指定を受ける。そういうシステムか。これだけで、6000円と安いが、要するに、京都の観世の例会だからかな。昼食時間も番組中で考慮しないのは、他でも同じで、これは実は困るのだ。『定家』のシテが、発表された時点では梅若実だったので、観ておかなくちゃ、と申し込んで、ついでに京都旅行。
実氏は右股関節症でシテ交代、元々地頭だった片山九郎右衛門と交換、と発表あり。
仕方ないね。そういう話しは聞いていたもの。梅栄会で、地頭をしていた時も、高い椅子に座っていて、とても舞はできない状態。
『兼平』は初めて。平家物語の、有名な義仲最後の場面。二番目物、修羅物。前半の最初は、北国から来た旅僧の観光案内を尉が務める。こういう観光案内モノは、受けたのかも。
後場は、勇壮な戦う舞。前場と後場の雰囲気の違いが際立つが、やはり、修羅物は見飽きない。
今回の京都観世会館は、解説、詞章を手持ちの小型モニターにする実験中で、借りて、観ていた。ので、良くわかった。国立能楽堂と同じ考えで、ただ椅子に取り付けられていないので、スマホ型のモニターを見る形。檜書店の作成だと。
例の如く、まったく途切れること無く狂言へ。観客はぞろぞろと休憩タイムが多い。
『蝸牛』観たはずだが、よく覚えていない。伯父の滋養に食べさせるために、藪に取りに行けというお話しで、太郎冠者が、蝸牛に化けた山伏と楽しく遊んでしまうというお話し。どうやって、カタツムリを食べたのだろうか。エスカルゴは、きっと生臭くて食べられないから、あれだけニンニクとバターで、ほとんど歯触りだけなのに。
狂言になるくらいだから、結構食べていたんだね。まずそうだけど。
『定家』は初めて。式子内親王との、秘密の恋、歳の差恋、身分差恋が披見してしまい、葛に巻き付かれてしまう内親王。和歌が多数読まれて、それを知っていて楽しめるお能。知識人だよね。「忍ぶれど色に出にけりわが恋は物や思うと人の問うまで」などなど。
作り物に、前シテが入り込んで、そこで物着をする。着替え後に、幽霊となって登場する。
後場の、内親王の亡霊の「序の舞」が優雅で美しい。勇壮さは無くて、ひたすら優雅、梅若実が舞っていたらどんなだろう。代シテで元々地頭役の片山九郎右衛門も、7月20日に能『大典』シテをやった名人。そういう曲をそういうシテ方が演ずる。そういう位の曲とお能、出演者たち。
本日のメインイベント。
仕舞4曲は、やはり、お稽古した後は、じっと観る。上手だね、なんて。一曲目は女子シテ方で。
『善界』は、大唐から飛んできた天狗が、日本の愛宕山の天狗の力も借りて、仏法に敵対しようとするが、叡山の僧正にやっつけられて、唐に帰って行くという、ちょっと笑える曲。五番目物。全体として、位が低いというのか、演者も若い人が多くて。これからの方たちによる演能。お話しが面白いから眠くならない。
そういう演目で終わるから、附け祝言。『高砂』のキリだが、簡単に謡っているんだよね。あんなに難しいのに。
高等遊民。年に何回かは京都でお能を観て、ついでに京都観光悪くないなと。