8月22日(木) 横浜能楽堂楽屋4
いよいよ、「初めての謡・仕舞教室」生徒の中から有志11名で、新しく、能楽堂のワークショップとは別に、紀彰師にお稽古を付けて頂く「会」を結成し、その第1回のお稽古。
実は、ここまで、かなり精神的には長い道のりで、ワークショップで習いながら、有志を募って、会費やお稽古会場をどこにするか、などを決めて、発表会から間が空かない時間で、つまり間延びしない時期でお稽古を始めたかったから、そして、何より梅若紀彰師に教えを請いたいから、紀彰師の謡や舞に、また熱意に惚れ込んだから、紀彰師の承諾が必要で、あれこれ蠢いて、やっと、今日を迎えることができたのです。
日本の、伝統芸能のお稽古は、おそらく、師匠と弟子が、1対1が基本で、たまたまその同じ時間帯に連続するグループはあるかも知れないけど、初めから「会」を作って、会員にお稽古を付けて頂くという形式は、伝統的お稽古形式に反したのでは無いか、と思っているけど、知らないから仕方ないのだ。お稽古事などしたことが無くて、1対1では重いし、かといって人数多ければ良いわけでもないし、熱意とかレベルとか大きな差があっては「会」のお稽古はできないし、試行錯誤の中から、えいやっとこういう会の発足に至った。ま、うまくいかなければ、その時に考えればいいや、と。
会の正式名称を「紀彩の会」と決定。紀彰師の紀を入れて、様々な生徒を示す彩の会。紀彩会では無くて、紀彩の会。の、が入るのが素晴らしい。命名者に感謝。やはり、コトバを大切にする方の発想で、弁護士的な発想では絶対に出てこない。素晴らしい名前になった。
会員の自己紹介の後、いよいよ、今回は謡だけのお稽古。
教室で、入れて頂いただけの『土蜘』後の地謡、詳しく教えて頂く。そのために必要な、符の読み方。
「当ヤ」は1拍からでる、「ヤア」は2拍からでる。「ヤヲ」は2拍半からでる。これだけで難しい。「ヤ」は1拍半から。「ヤオハ」は3拍半から、「当ヤオハ」は3拍から。基本形の「。」で終わっている句は、次の一言は8拍半からでる。8拍にぶつけて出るのは「半声」と書いてあるらしい。
でも、気がついたら、謡は8拍が基本で、前の句との間というか、とどれだけ開けてコトバを出すか、ということなんだ。
また、音の高さ、クリ、上、中、下の中、下、呂、と6音階あるが、ツヨ吟では上と中は同じで、下の中と下も同じで、だとか、でも「下」符が書いてある時、上を謡っているか、中を謡っているかで、その前のウミ字が上がるかどうか決まる、とか。
カドナシワマシとか、「含」と書いてある時の「ん」の発音。例えば、「君を悩ますその天罰の」の「天罰の」という句のところで、テンバツの「ツ」が含だから、「ん」と聞こえるけど、口を閉じる「ん」と開く「ん」があって、鼻に抜ける「ん」だとか。
訳分からないけど、分かったことは、極めて精緻に謡本の符はは附けられていて、しかも、例えば囃子方が付いている時は、どうなっちゃうか、とか、紀彰師は、ご自分が口伝ばかりで収得されたのでは無いからと推測するが、論理的に分析して教えて頂く。ご自分で、納得できる解析をされたのでは無いか、それを伝授されているのでは無いかと。
ここまで教えて頂いて、発表会で、なぜ僕の謡が地謡と拍子っぱずれになったか、地謡のプロはお三方なぜピタリと合うか、なんとなく分かって、今更ながら、あの発表会は赤面。
更に、希望して『高砂』のキリ、附け祝言で謡われたところを、短いし、格好いいからと、教えて貰ったらば、いやまあ、なんと難しい。「含」が連続して、皆さん、口ごもる。簡単に考えていたのに。悪かった。
まあ、録音を聴いて、復習するしか無い。高等遊民、暇なので、練習しましょう。暇つぶしにもなるし。
新しく梅若流定式扇を全員分注文したり、新しく梅若謡初級本4曲セットになったモノを注文したり、紀彰師奥様にはお世話になっている。
きっと、この合同お稽古うまくいく。