8月15日(木) 横浜にぎわい座
開口一番 前座 柳亭市朗 『初天神』
柳亭市童 『湯屋番』
『七段目』
(お仲入)
『御神酒徳利』
いやあ!こんな落語初めて聴いた。柳亭市馬は、日ノ本一の大名人ではないか。
7月の柳家小三治の落語会を聴いて、名人だと書いたけど、確かに、小三治は飄々とした名人芸ではあったが、市馬のは、しっかり古典を聴かせて、笑わすところは笑わすが、くすぐりに頼ることなく、きちんと笑わせて、また噺口が芸人。彼こそ、まさしく、名人。小さんの弟子らしい。小三治も小さんの弟子で、人間国宝。こりゃあ、市馬が小さんを継いで、人間国宝じゃないのか。別に人間国宝にならなくても良いけど、大芸人で、大名人だから。
前座は、父と子の言葉の違いが出ていない。しゃべっているだけ。もっと小憎らしく。
市童の『湯屋番』。あまり印象はないなあ。下手じゃないけどね。普通。
で、『七段目』。芝居狂いの若旦那と、同じく芝居大好きの番頭が繰り広げる物語。芸人市馬は、きちんと歌舞伎の台詞回しを演ずる。ちゃんと。本当に歌舞伎役者がしゃべるよう。途中からお三味と太鼓も入って、落ちも普通だけど、面白いの。感心するの。上手いの。語彙力が不足している自分が悲しい。
『御神酒徳利』。3回だけできる算盤占いを騙って、奇跡的大成功を収める噺。稲荷大明神も出てくるが、その姿形、語り口が、本物を彷彿とさせる。どこが面白いかと言うことではなくて、全部が、全体として面白い。
一之輔のように、ドッカンドッカン笑わせることはない。が、大笑いに包まれる。
志らくのような、イリュージョンはない。
噺が終わった時、思わず涙。感動の涙。腹が痛いほど笑っての涙ではなく、感動の面白さの涙。
これこそ、名人芸。大名人。機会があったら絶対にまた聴く。