7月15日(月・祝)  鎌倉能舞台

講演 小林健二 鬼女の様々など

狂言 『瓜盗人』 (大藏流 善竹家) 

    シテ(瓜盗人)善竹富太郎 アド(畑主)善竹大二郎

    面:?・・蚊相撲に使うモノ

能 『安達原』 (観世流)

    シテ(前:里女、後:鬼女)中森健之助 ワキ(山伏祐慶)森常好 アイ(能力)善竹十郎

    面:前シテー深井 後シテー般若

 

今回は、指定席がかなりの部分を占めていたが、空席もあった。なにか、ツアーのようなモノもあったよう。

 

講演は相変わらずつまらない。学者らしいが、こういう人の講義は、学生さんは絶対眠くなる。どうして、こう学者というのは講義が下手なんだろうか。

 

狂言『瓜盗人』。善竹家は初めて。先日、大藏流五家の狂言会で見た役者が登場。悪くない、正統派かな。

この曲は、どこから導入するかで色々あるらしいが、今回は、まず畑主が見回って、瓜が盗まれているのを発見し、案山子を立てて行くところから始まったので、全部、ということ。盗人と畑主が交代で現れ、最後は案山子に化けた畑主に見つかって、許されませ、許すまいぞ。

瓜は何を示すのかと見ていたが、手で持つ仕草からは、西瓜ではない。キュウリよりは大きいから、冬瓜のようなモノかな。

 

能『安達原』。3鬼女の作品。後2曲は、『葵上』と『道成寺』。全部見たなあ。鬼女モノだけは般若の面になる。が、前に見た道成寺は般若の更なる進化形の真蛇だったような。

鎌倉能舞台の主催者の中森貫太の息子である中森健之助がシテで、初めてらしい。こういうのを披くというのか。若いから声が通っていて、聞きやすいが、綺麗なだけじゃなあ。地謡は、父親も加わっていたし、先輩方だから、見つめている感じ。笛方や大鼓も若い演者で、こういう時代なのだな。でも、こういう人が見つめる中で、しっかり練習したのだろう、謡も舞も、仕草の手の先まで神経が行き届いていた。きちんとした後継者がいて良かったね。

物語は、陸奥の安達原の黒塚に住む、卑しい身分の人食い鬼女の話。前半の人生の嘆き節から、どうして、般若の鬼女となって逃げようとする僧侶たちを襲うのか、イマイチ解らないけど、まあ良いのだ。能とはそういうもんだ。戦いのシーンや、その時の謡、取り分けて五大明王の名号を唱えたり、呪文を唱える謡は、身体の奥に響く。悲しみをたたえながら戦う般若鬼女。祈りに負けて退場するが、他の能みたいに成仏したというのではない。生きているから、山奥に逃げただけ。

それで、序破急で、バッと終わる。この終わり方は、素晴らしい。震える。

舞台と見所が近くて、囃子方が思いきり打ち鳴らすと、シテの声が聞こえなくなる。でもこの近さが良いのだけど。

 

ゆっくり構えていたが、10月7日の売り切れだって。どうしてかと思ったら、狂言で萬斎が出るかららしい。人寄せパンダ。萬斎ファンならば、狂言会に行けば良いのに。