7月3日(水) 国立能楽堂
狂言 『犬山伏』(大藏流 茂山千五郎家)
シテ(山伏)茂山茂 アド(出家)茂山逸平 アド(茶屋)網谷正美 アド(犬)島田洋海
犬面:不明(賢徳ではなく、犬面の面)
(休憩)
能 『班女』(宝生流)
シテ(花子)佐野登 ワキ(吉田少将)野口能弘 アイ(野上の宿の長)茂山あきら
面:節木増(作者紹介無し)
国立能楽堂の定例会は、重ならない限り行こうと思っている。安いし。あぜくら会に入会したから、取りやすいし、割引はあるし。でも、今回のは、あぜくら会員先行予約日だったのに、混んでいた。昼席の方が人気があるのかなあ、と思っていたが、行ってみると大型バスがおり名札を着けた人が多数。レストランも、名物の羽衣弁当1500円がずらりと並んでいて、ガイドに付き従って、客が入ってくる。全部日本人だから、どこかのツアーだろうか。どこの旅行社か確かめなかったけど、席を押さえていたんだね。まったく能が初めてという人でも無さそうだったから、宝生流のシテ方佐野登後援会などだろうか。
『犬山伏』。威張り散らす山伏の様子、顔つきを茂山茂が良く演じていた。狂言では、まともな山伏は登場しない。対して、茂山逸平の出家はおどおどしすぎだが、際だって良いか。犬が登場するが、犬の名前が「トラ」だったけか。トラを入れる言葉でおとなしくなる。犬の狂言面は、通常「賢徳」を使うが、今回は、犬というか狐というかの面。
最近、続け様に、狂言で眠くなる。ウトウト。茂山千五郎家は、面白いね。
『班女』。なんと、自信が合ったお能でも、眠くなってしまった。体調の問題か。舞いが主のお能だったが、舞いも鑑賞に値するけど。
吉田の少将は、あちこちで出てくる。モテたみたい。美濃の野上の宿で契りを交わし、扇を交換して印としていた吉田少将と花子。間狂言から始まるが、茂山あきらの様子がおかしくて、お能なのに笑いが漏れる。この辺りは眠くない。
花子といえば、先日同名の狂言を鑑賞した。都ではなくて、地方の遊女は花子(はなご、と読む)という名称にするのか。どうやら、この吉田少将と花子の間にできた子が、梅若丸で、お能の『隅田川』ということらしいけど。
小町モノは、深草の少将。少将ってのは、貴族で、格好いいのだ。モテるのだ。まだ若いから、おなごが放っておかないのだ。
扇は、「逢う義」に通じて、おめでたいものであるとともに、扇を引っ繰り返すと、表と裏で、不吉という意味もあるという。昔の人にとっては、扇は様々な意味を持つのだそう。
これもパンフからのお勉強だけど、『班女』の語源。中国の後宮で寵愛を受けた「班婕妤」という女性。班が名字で、婕妤が官職名。洋才兼備だったが帝の寵愛が移り、閨怨の人となる。難しい漢字を使うね。けいえん、と読む。なんとなく意味が字から解るけど、広辞苑によると「夫に捨てられた妻が、ひとりねの寂しさをうらむこと」とある。そういう班さんに絡めたお話しだから、曲名が『班女』だと。本曲は世阿弥作だから、当時は、こういう唐の故事をみんな知っていたんだね。
知識も教養も欠如する安倍首相とは、大違い。
そういえば、昔から、扇は重要な小道具なのだね。正式な出で立ちでは扇を持ったりする。舞いでも、扇扱いが重要で難しい。
寝てしまったけど、高等遊民、知識を深めて、舞いも楽しもう。