6月22日(土) MOVIX橋本

『日高川入相花王』 清姫:坂東玉三郎、人形遣い:尾上菊之助 船頭:市川九團次

    平成17年5月歌舞伎座

『鷺娘』 坂東玉三郎

    平成17年10月歌舞伎座

 

2回目のシネマ歌舞伎。しっかりとスタンプラリーに判を押した。今回は、板東玉三郎。

 

『日高川入相花王』は、道成寺モノで、道成寺に着く前の日高川を渡るお話し。ビックリしたのは、人間文楽仕立てだったこと。清姫の玉三郎と船頭の九團次は、人形の動き、菊之助が清姫の人形遣い。本来の文楽で足や手を使う黒子もいる(何をしているのか良くわからないけど)。

その動きが見事。玉三郎だけではなくて、九團次も。無表情の菊之助も。

船頭が渡してもらえず、日高川に飛び込む清姫。ここでの早変わり、衣装だけではなくて、浮かび上がる時に般若の面になる。思わず、おおっと。最後にやっと渡り終えた清姫が、桜の木に取りすがって、ほんの少し笑みを漏らす、そしてやっと渡った濁流の日高川をキッと見つめる。良いぞ、玉三郎。大和屋!

 

『鷺娘』。ひたすら美しい舞踊歌舞伎。玉三郎の技量がひときわ目立つ。鷺を表した足使い。イナバウワーより美しい、反り姿。数十キロにも達する衣装やカツラ、とある。これであの踊り。ジャンルは違うけど、ベシャールのボレロで感じた感動を蘇らす。日本舞踊は、西洋ダンスを上回る。あの何度にも渡る早変わりは、西洋では絶対にできない。衣装を着けながら、指先から足先、全身の隅々まで気が入っている動き。微妙な繊細さと大胆さ。そして舞台の美しさも。

思わず目頭が熱くなる。

『鷺娘』は昔からある演目ではあるが、現代では玉三郎しかできないだろう。でも玉三郎は、もうできないと封印したらしい。貴重な映像記録だ。

素晴らしい!思いだして書いているだけで、涙が出る。感動モノ。ライブで観たらどんなことになっただろうか。必見!