5月25日(土) よこはまみなとみらいホール

指揮者 飯守泰次郎

ベートーヴェン 『レオノーレ序曲3番』

シューマン 『ピアノ協奏曲』

   ソリスト 上原彩子

   ソリストアンコール:シューマン『ウィーンの謝肉祭より第4曲間奏曲』

(休憩)

ベートーヴェン『交響曲5番≪運命≧』

アンコール:シューベルト『ロザムンデ間奏曲』

 

謡の頭になっていたが、西洋音楽のクラシックになると、すっと頭が切り替わる。

飯守泰次郎さんは、日フィル横浜初出場らしい。僕も初めて。ちょっと足下がおぼつかなくて、危ない感じで登場。だが、指揮ぶりはしっかりしたモノ。お歳は公開していないけど、かなりの方のはず。80歳は超えている。といっても、山本東次郎さんと比べると、ね。

今日は、コンマスは、日フィルの千葉さん。トランペットのオッタビアーノさんも出ない。チェロの辻本さんも出ない。どういう具合だか。編成もやや小ぶり。

 

ソリスト上原さんは、白(銀か)黒のストライプロングドレスに白い靴。装いは女子っぽいが、演奏はボーイッシュ。こういう表現は差別的かな。ショートカットだし、演奏中も自分で乗ってしまって、身体を動かし、腰を浮かす。音楽が情感溢れるモノだから、合っていて、良かったです。眠くなるほどの美しさ。

ふっと気づくと、ピアノは、スタインウェーアンドサンズ製。あそこはスタインウェーだっけ。まさか、ピアノの持ち込みはないからね。なんかも番組で、国際的ピアノコンサートの時、スタインウェーとヤマハが持ち込んでいて、ソリスト=参加者に選ばせる、というかどちらが良いか選んでもらえるよう調律をしたり何やら。このホールの場合はどうなるんだろう。ああいう独奏者の場合、好みのピアノもあるだろうし、調律の仕方も個人的趣味があるだろうと思うのです。

ソリストアンコールは、同じシューマンで、もっと叙情的な。

 

『運命』。さてと、飯守さんの指揮はいかに。正しいベートーヴェンで、正しい演奏と評すべきか。ドイツ音楽の大家と書いてあったが、まさしくマエストロ。素晴らしい。最後でタクトが上がって一瞬止まった瞬間、覚えず、涙が。ベートーヴェンは、こういう風に演奏するのか、って感じ。熟練の技。コバケンほどの情熱ぶりではないけれども、それなりの指揮ぶり。飯守さん、良いのではないかいな。

交響曲はこういう風に演奏するのです。わかっていますよね、町田フィルの皆さん。こういう演奏ならば、不愉快どころか、感動して、涙が出るのです。まあ、町田フィルのおかげで、日フィルの上手さがわかったというか。

これは良さすぎて、眠くならない。

アンコールの選曲は、やはりドイツ音楽。ここはコバケンではない。

 

高等遊民は、謡にハマるが、本籍はやはりクラシック。2階最前列から見ていると、かなりのお歳のご夫婦が、よろよろと、手をつないで歩いて、なるべく階段を避けるルートで、1階席前の方へ。僕も、歩けるうちはこの席を死守するぞ、と誓う。高等遊民、動けるのは、さてあと何年か。謡・仕舞で足腰を鍛えれば、歩けるか。