5月18日(土) 横浜シネマリン

 

狂言方大藏流宗家筋の親子の狂言稽古の、ドキュメントタッチのフィクションだと聞いて、わざわざ土曜日の早朝に関内まで出かけて観た。

 

稽古風景は良かったが、参考にもなったが、つまらん。眠くなった。

横浜と思われる自宅から車で代々の稽古場であろう蓼科の家に父子伝授の合宿に向かうのだが、真冬ではあるものの、車に乗り込むシーンから始まって、父親(大藏基誠が自ら出演)と10歳の子(大藏康誠)が、羽毛の防寒着とマフラーを着けっぱなしで乗り込み、運転する。嘘だろう、車内では脱ぐでしょう、と初っぱなからなんだこの映画は、という感じ。リアリティがなさ過ぎ。

 

終演後、監督・脚本・編集の土井康一さんが、挨拶したが、その中で、「狂言のお話しと思われがちだが、家族の物語を取りたかった」と話していた。なるほどそうかも知れないが、それならば、映画の宣伝文句はどうなんじゃ。明らかに狂言方大藏流の伝承風景を伝えることに重点を置いた書きぶりではないか。だからこそ、能楽ファンが見に行くのです。前日の国立能楽堂にもパンフが置いてあったでしょ。

製作・配給の桜映画社に騙されたのだな。土井監督は、自主映画は撮れないし、公開されないから、桜映画社のような商業映画社と組まねばならない。桜映画社も赤字まで出して撮りたい映画に協力筋合いではないから、こういうミスマッチが出てきてしまう。

しかし、結果的に失敗だった。能楽ファンは、?だし、土井監督応援団はまだ少数。一般人には感激されるような内容ではない。

撮影は良かったけど。撮影は丸池納。終演後、前の座席に座っていた。綺麗な白髪の方でした。

 

いかに高等遊民でも、高い交通費を払って、土曜日の早朝に観る作品ではない。